気が付けばカレンダーの日付は1日になっていた。

1日という日は、柚月が心臓移植をした日で、毎月この日が来るたび、もらった命について考え、ありがとうと感謝をしていた。だけど今はそれだけじゃなくなってる。同じ1日という日にハローくんのことを思う自分がいる。

一ヶ月前の自分では考えられないことで、こんな風に人を思える感情も柚月は知らなかったし、味わったことのない感情を感じれることはとても幸せに思う。

ただこの前ハローくんに言われたことを払拭できないまま、まだ引きずっているのも確かだ。
今日はいつものように花を買って帰ろうと、柚月は保奈美さんの店に向かった。

「こんにちは」
「ああ、柚月ちゃん」
「部屋に飾るお花を買いにきました」
「そっか。今日は何がいいかな? ゆっくり見て行って」
「はい」

保奈美さんは柚月が選んだ花の茎を切り落とす。

「なんか柚月ちゃん、今日元気ないんじゃない」

そう言われて、落ち込みが顔に出ていたことに気が付き、柚月は苦笑いをしながら白状する。

「ちょっとそうかもしれないです」
「学校で嫌なことでもあったの?」
「学校ではないけど……ちょっと人間関係というか……なんかそんな感じで」
そこで言葉が詰まると、保奈美さんは気に留めないようで

「まあ、いろいろあるよね」と明るく笑った。それに救われた。