色々可愛いものはあったけれど、ハロウィンと書かれたガーランドだけ購入した。
なんか食べようか? とハローくんが言うので、駅から少し歩いたカフェに入ることにした。
やっぱり彼も甘党のようで生クリームの乗ったシフォンケーキを頼む。
「ゆづちゃんは?」
柚月は悩みながら
「さつまいものムースケーキにする」
上面にカラメルがかかっていてとてもおいしそうに見えた。
席に着いてハローくんに「いただきます」と伝えてから、手をつけた。
「うん、美味しい」
思わず満面の笑みになる。
「良かった。ゆづちゃんの笑顔見れて」
「え?」
「ゆづちゃんのくれるもの、いつも笑顔にしてくれたから。返したかったんだ」
そう言われて、柚月はぎこちなくなる。どういう意味? いや、言葉のままかと受け取り直す。
しかし返事に詰まる。何か言わなければ。
「食べる?」
と勧めてみた。
「うん」
一口ずつシェアした。
男の子と同じ物を食べることがなくてドキドキしていた柚月とは対照的でハローくんは何も気にしていないようで「この芋、うまい」と目を輝かせる。
「うん、美味しい。けっこう中しっとりしてるんだね」
「芋、好きなの?」
「え?」
「スイートポテト屋さんで働いて、ここでもお芋食べてるから」
そういえばそうだ。
これもたまたま選んだだけだし、バイト先も外観が可愛かったのと家から通いやすいところが決め手だっただけで、芋が大好物ですというわけではないけど、好きと言えば好きである。
「うん。好きかな」
「ゆづちゃんは芋好き」と独り言のように呟いた。