公園に着くと、普段より賑わいを見せていた。
色づきを見ると、すっかり開いた花びらもあればまだ蕾のものもあり、五部咲といったところだろうか。

そんな桜を子供でも見るような目でハローくんは見上げていた。

その様子が可愛らしかったので、しばらく眺める。

そうしているとその視線に気づき
「いつから見てたの?」
と少し照れながら言った。

「うーん。5分前くらい?」
「え? 5分も?」
「嘘。3分くらいかな」
「そんなに見られてたなんて……ていうかそんなに眺めていられるのがすごいけど」
「ハローくんだからだよ」
と柚月は笑顔で答えた。

芝生にビニールシートを敷いて、お弁当を広げた。
3人で作ったことを伝えると丁重に手を合わせて
「いただきます」と言うので柚月も真似をした。

「美織の作ったのこれだよ。食べてほしいみたい」と少し焦げたピーマンを指さす。
それでも全て美味しいと平らげる。
お腹がいっぱいになって、ハローくんがごろりと寝そべるから柚月もまた真似をして横になった。

伸びた桜の枝や空が視界いっぱいに広がると、自分も自然の一部のような気がする。
そうしていると段々心が透明になり、自分という意識が薄れて一体化する幸せを感じる。

目を少し閉じるだけのつもりが、そのままウトウトしてしまい柚月は眠ってしまった。