「本当にらしくなかった。俺、こんな風に考えたりしないのに、ゆづちゃんと出会って嬉しいこともあったのに、昔のこと思い出したら、なんか段々らしくないことばっかしてたよ。だからね。回りくどいことはしない。ただゆづちゃんのこと好きだって言いたくて会いに来た」
「……うん」
「俺、ゆづちゃんのこと好き。ゆづちゃんが笑ってくれることが俺の幸せ。だから、これからも一緒にただいたいんだ」

力強く告げる。
柚月は大きく頷き笑顔で返した。
彼の腕が伸びてそっと柚月を抱きしめた。
喜びに包まれると、世界そのものが愛おしく感じる。
柚月はぎこちなく彼に腕を回す。
こうしていると、触れるもの、見えるもの、聞こえるもの、五感の全てで幸せを感じられる。
柚月が思う以上に、世界は明るく眩しい、そんな光に既に満たされている。

「そういえば、さっき天使の羽根みたいな雲見つけたよ」
「え、本当に?」
「うん、ゆづちゃんに見せたかったなぁ」
「見たかったけど、今こうしているのはそのお陰なのかもね」

顔を見合わせると柚月は
「ありがとう」
と彼に伝えた。

心の中が溶け合うような喜びに震える。少し泣きそうな顔で彼は優しく微笑んだ。