「あの、訊いていいですか？
それは……その人は、ハローくんも知ってる人ですか？」
「うん、そうだね。一応覚えてはいるみたい」
「もしかして、ハローくんのお父さんですか？」

思い切って尋ねると頷いて、柚月は予感が的中したことに胸が痛んだ。
まさか、そんなわけないと動揺が広がると足が震えてくる。

だけど保奈美さんは柚月の中にハローくんのお父さんがいるとは思っていないようで明るく釘をさす。

「あ、春には言わないでね。
父親の話、全然してないからさ。
小さいときに離婚してから一度も会ってないし、そんな形で死んでることも勿論知らないから」
「会ってもないんですか？」
「あ、変に思うよね。なんていうの、すぐに向こうがね再婚したり……まあ私の気持ちも色々あったから。その内話すことになるだろうけど。だから内緒にしててね」
「は、はい」
柚月はただ返事をするだけで精一杯だった。