「だからまあ色々あったけど、こんな可愛いリースを好きな子の為に作るあの子見てたらね、やりやった思い出は、もう前世くらい昔に感じるかも。本当に、ありがとう」

満面の笑みで言われるものだから、柚月はあのリースを受け取った気持ちをもう一度思い出し、味わう。
胸の中に優しさが広がるのを感じた。

「すごく可愛かったです。ハローくんの作ったリース。ハローくんみたいに優しかった」
ん、と保奈美さんは頷いた。
安心感に包まれ、涙をぬぐうとようやく笑えた。

「落ち着いた?」
「はい。すみません」
「女の子はね、こんな可愛いリース作ってくれてありがとう。何も考えず嬉しいって喜んでればいいの」
と、ぶりっこポーズをするからまた笑ってしまう。

「少し、お花見ていっていいですか?」
「どうぞ。ゆっくり見て行ってね」
「はい」

店内にはポインセチアが並べられていて、そういえばもうすぐクリスマスだ。
少し前の私はハローくんとイルミネーションを見に行けたのに、もうそんなことは出来ないのかな。
それどころか、会うことも出来ないのかな。
そんなことを考えていると、また胸がギュッとなる。