ハローくんは廃工場の外から中を覗き込んでいた。
辛うじてひとつ忍び込めそうな窓が開いていた。
人数は十数人といったところで、思った程ではなかった。
たぶんあの大柄な奴が鶴見だろうと予想をつけた。
予定通りバイクが廃工場の前に停まると、数人が「来た」と言って外へ出て行った。
今だと、窓のサッシに足をかけ飛び込む姿勢になる。
狙いはただ一人、鶴見だけだった。
背後に潜んでいることに気づかない様子で、
「来たか」と鶴見が構えていると、入り口から一人が顔を覗かせ
「違った。おっさんがバイク停めてタバコ吸って……あ、後ろ!」
「はっ?」
叫んだ頃には遅く、背後からハローくんに蹴り飛ばされていた。
床に転がっていった鶴見を見て、周りがざわめく。
一緒に窓から飛び込んでいた渋谷が「うちのミッチーちゃん、どこだよ」とひるんだ隙をついて、殴り倒していった。