「この手錠ってどこで買うんだろうね」
ふと手首にされた手錠が気になり、口にする。
「柚月さん、こんなときに、余裕っすね」
「手錠って売ってるんだなーって思って」
「やっぱドンキじゃないすか。見たことないすけど」
ミッチーは真面目に答えた。
余裕というけど、そんなことでも言ってないと笑えない。
鶴見は柚月に何もしないと言ってくれたけど、実際どうなるかわからないし。
というか、一人で来るのだろうか。こっちは相当な人数がいたはずだ。
この先のことを考えれば考える程、心が暗くなっていく。
「ああ、もう、喧嘩なんかしてほしくないのに!」
思わず本音が溢れ、じたばたする。
「え、なんすか、急に」
「だって」
すると、バイク音が響き渡った。
「え、何?」
「もしかしたら、ハローさん達が来たのかもしれない。俺、渋さんに電話したんすよ。ハローさん繋がらなかったから。したら一緒に行くって言ってました。たぶん渋さんのバイクの音っす」
柚月はホッとしたけど、これから何が起きるのか不安にもなる。
ドキドキしながらも耳をそばだてた。