ここから10キロ程先の廃工場に来るように指定された。
渋谷のバイクの後ろに乗る。

「あっち何人くらいいっかな。ハロー、誰か呼ぶか?」
「時間がないから、いいや」とメットを被る。
「久しぶりの大人数かもな」
「余裕だよ」
渋谷はハッと笑う。久しぶりにキレた目のハローくんを見た気がした。

「つうかさ、ミッチーのことだから喧嘩よえーのに、因縁つけたとかだろうな。絡まれたとかいうけど」
渋谷が言う。想像がついて
「あいつ、バカだからな」と呟くが、バカは自分かもしれない。

因果応報という言葉が浮かんで、その言葉に責められている。
過去に自分がしてきたことが、こうして関係のない人を巻き込むことになるとでも言いたいのか。そんな言葉に貶められてたまるかと感じる部分と罪悪感があい混じり、苦しくなった。
だけど、今はそんなことはどうでもいいと、ふっと力を抜いた。

車道に流れ込む。
「なあ、ハローはさ、本当はどう思ってんだよ」
「んー?」
「だから柚月ちゃんのこと!」
「どうって」
「だから、俺はさ、お似合いだから付き合えばって感じで、柚月ちゃんと付き合ってんだろって言い続けてたんだけど、お前は本当はどう思ってんだよ」