ハローくんは渋谷とファミレスにいた。
トイレから戻ってくると、渋谷の様子がおかしかった。携帯を手にしたまま画面をずっと睨んでいる。
「どうした? ようやく湖夏ちゃんに振られた? 良かったね」
いつもいじられるので、言い返したつもりだが、
「ハロー、やられたよ」と舌打ちをした。
「はあ、何が?」
テーブルに置いていたイチゴミルクのグラスを手前に引き寄せる。
「ミッチーから連絡あって、どういうことかわかんねーんだけど、柚月ちゃんと一緒にいたときに陽高の奴らに絡まれたらしいんだ。それが鶴見のグループの奴らだったらしい。んでハローの彼女だって勘違いされて人質にとられたとよ。ミッチーも一緒だ」
「はっ?」
「返してほしければ、ケリつけろって。あれだな。お前、前、呼び出されたときすっぽかしただろ。あれでコケにされたと思ったらしいな。なんか人質にとるって嫌なこと考えてなきゃいいけど」
「どこ?」
「あ?」
「どこに行けばいい?」
「そうこなくっちゃ」
と渋谷は伝票を持った。