「どんな理由であれ、最低な奴だよ、本当に」
忌々しそうな顔をする京先輩とは対照的に
「でも今じゃないから」
と朝芽先輩はさっぱりした表情で言った。
だからと続ける。
「あのときは怖かったよ。当分会いたくなかったし。でも今は怖くないよ。ハローくんが本当はすごく優しい人だってわかってるから。
あのハローくんはあたしの中にも、きっと今のハローくんの中にもいないんじゃないかな」
聞かせてあげたいと柚月は思った。
彼が天使だと言った彼女の言葉なら何か伝わるような気がしたからだ。
「言ってもらえませんか。ハローくんに。今の言葉」
「え?」
「ハローくん、真逆のこと言ってました。自分は優しくないって。でも朝芽先輩から、今の言葉を言われたらすごく嬉しいと思うんです」
きょとんとしてからふっと笑った。