慌てて朝芽が「京はもう帰って! 帰るのじゃ!」とまた独特な口調で追い払う。双子ならではの話し方らしい。
「え、なんで?」
「空気読まないから、嫌いじゃ」
そう言われてしゅんとする。仕方なく立ち上がる彼を柚月が止めた。
「髪を切ったってなんですか?」
髪を切られるなんて、よっぽどショックな出来事だろう。柚月の口調も厳しくなる。
「なんかね、あいつがあーちゃんのこと好きだったんだけど、あーちゃんが振ったら逆上したような感じだったよね。ね、あーちゃん?」
柚月の顔がさらに険しくなるから、話さないほうが疑惑を深めてしまう気がして、ようやく
「あのね……ええと説明するよ。まずリラックスしてね」
そう前置きをするから、気分のいい話ではなことは想像がついた。
「はい」
「ええと……なんていうんだろう。
ハローくんに告白をされて断ったんだ。
で、付き合わないなら髪を切るみたいな感じで脅されたというか……悪い冗談だったのかもしれないけど、そう言われて。
それでも無理だと伝えたら、確かハローくんが、何が俺に足りないのみたいなことを訊くから、
あたしはハローくんに自信が足りないって言っちゃったんだ。
きっと自分でもどこかでそう思ってたんだと思う。
図星じゃないと人って怒らないもんね。
その言い方が、あたしに見下されたように感じたみたいで、その勢いで……」