「よし、渋、俺になりすまして行ってきてよ。もう一回約束してみるから」
適当なことを提案する。
「約束って、デートかよ。てか、一発でばれるだろ」
「なんかハローさん、やる気ないっすね。俺、ハローさんに憧れてこの学校入ったのに、なんか残念っすよ。
まじやる気出して下さいよ。一緒にぶっ潰しましょうよ。
逃げてるって思われたら、俺、たまんないっす」
「やる気ないのはあれか? この前、柚月ちゃんと何かあったみたいだしな。悩み?」
と渋谷がからかうと
「また柚月さんですかー。俺でも良くないすか」
ハローくんは「えいっ」とテーブルにあったペットボトルをミッチーに投げつけた。
「いって。ガチで痛いっす」
と身もだえる。
「くだらねーこと言うからだろ」
「俺の気持ちは本気っすよ」
「お前、ハローに対して本気でそういう好きなのか」と今までミッチーの好意を冗談だと思って聞いていた渋谷も引き気味で尋ねる。
「ハローさんだったら大丈夫っす」
と親指を立てた。
「てか、柚月さんとまじ何かあったんすか? 俺、相談のりますよ」
「なんもねーよ、バカミッチー」
ミッチーがしつこいので投げやりに返した。仰向けになるとカーテンの隙間から差した日が顔にかかり、腕で遮る。
ふと喧嘩はやめろといった柚月を思い出し、だから無理なんだよなと心の中で呟いた。