Chapter0






Chapter0






おはようございます?

こんにちは?

こんばんは?



どれか分からんけど、こにゃにゃちわ~(古っ


うちは本作の主人公、榊(サカキ)。
20代前半、ピチピチの女の子やで!


そこ!
挨拶も言い方も古いとか言わんといて。


うちも、やり過ぎたと思うて凹んでる最中やから。


………って、そんなんどーでもええねん!


この物語の中身としては、うちの勤める【蜀仙(ショクゼン)】っていう会社での出来事をうち目線で纏めたもんや。


小さい会社でな、エプロンとか服とかの受注生産と卸売りとかやっとる。

最寄り駅からは徒歩10分もかかる上に、いりくんどるから不便なとこやけど、うちの家からは徒歩3分で着くねんで!


そんな便利なとこに勤めてんねんけどな、許されへんというか、理解に苦しむというか……



会社も会社の人達も、めっちゃカオスやねん!



性格も仕事のやり方も、とにかく全部や。

社会人として働いたことがないうちが言うのもあれやけどな………



何十年生きとって、
何を学んでんね――ん!!!



って言いたなる事ばっかりや!


まぁ、心ん中ではめっちゃ言うとるけど。


最近我慢の限界越えて、つい口に出てまう時もあるから気を付けなな。

(もちろん、周りに誰もおらん時やで!)



こんな感じやから、1年ぐらい前から転活してんねんけどそないに上手くいかんな……


ストレス溜まり過ぎて休みたーい、っていう欲求の方が勝ってまうねんなー。



………まっ、転職のことは一旦おいとこか。

しばらくは出来ひんと思うし(泣



ではでは、次のページから会社の話に戻るで。

うちはとりあえず事務ってことで入ってん。

簡単に事務言うたけどな、そんじょそこらの事務とちゃうで。


ちいちゃい会社ならでは、やで。



分かりやすいように箇条書きにするな。


・仕入売上~請求書発行までの諸々
・電話諸々
・来客とお茶出し諸々
・掃除諸々
・生産管理諸々
・入荷出荷諸々




めちゃめちゃ簡単にまとめただけやからな。(ここ重要やで)

前置きでごちゃごちゃ説明するより本編で紹介するわな。(順序バラバラなんはご愛嬌やで)


まぁ多少?愚痴も混じってるかもやけど……


因みに、大きい声では言われへんけどな……


なんやコメディってゆうてるけどな、コメディかどうかは不明やねん。


むしろ、コメディやなくてカオスっぷりをお伝えしたいねん。


あるある~とかありえへんとか、ゆる~い感じで読んでいってOKやで。


あっ、因みに……

うちの会社にはもっと凄いのがおるとか、こんなかわし方あるでとかあったら是非とも共感&参考にしたいから感想ノートに簡単でも書いてくれると嬉しいで。



そして、仏の様な心と温かい目で見たってな!






それでは……………





レッツゴーや!!!!!!

Chapter1






Chapter1







最初に事務所の説明しとくわな。


事務所は2階建て。

鉄筋コンクリートの古い建物でな、雨漏りもするしシャッターなんて壊れてて上まで全部あげられへんねん……。


朝、開ける時いちいち停止ボタン押すねんで。

面倒やわ(怒


直さんのはな、お金がかかるからやで。

お金がないからちゃうねんで。

従業員が開けるからな、40代の2代目社長の自分は関係ないから出来ることやねん。



……で、話戻そか。
うちがいるんは1階。

エプロン縫うミシンやら荷物やらが密集(うちに言わせれば散乱)してる。


中2階があって、倉庫内事務所って感じや。


2階は会長と会長の奥さんの綾牝(アヤメ)さんがおる。



因みに、昔は2階に事務所で、1階が倉庫だったらしい。

けど、同室の会長が煩くて移動したらしい。(迷惑な!)


でも、会長のことは長なるからまた今度な。

倉庫やからもちろん冷暖房なし。


夏は、送風機だけやから汗ダラダラで開けっ放しの為に虫入り放題(泣

昆虫嫌い&蚊に刺されやすいうちにとっては大問題や!



冬は、分厚いダウンジャケット着こんでストーブのみで冷え冷え(泣


冷え性のうちにとっては大問題や!



大問題ばっかりやな……



2階にはエアコンあるのに、荷物で埋もれてて部屋使われへんねん!



従業員の職場環境を整えるのも
会社の義務やでー!!(叫

Chapter2






Chapter2







事務らしく、伝票入力から教えてもろうたで。



事務作業をしとるのは、うちの他に2人。


直属上司に当たる角橋(スミハシ)さん。
50代白髪混じりの男の人や。



もう一人は、お局に当たる咫穢臀(シエジリ)さん。

60代の典型的なおばさんって感じの女の人や。


咫穢臀さんは、お客さんがうちから送った仕入先のカタログ見て商品を仕入れて売る。

まぁ、いうなれば卸売りに近い業務専門。


角橋さんは、咫穢臀さん以外の業務全般やな。

受注生産管理ってとこやな。




で。

会計ソフトの入力を教えてもろて、伝票入力スタートや。

仕入先からきた伝票をソフトに入力して、入力済の印を押して終了。


……まっ、普通やな。


でもこの後が、他とはちょっと違う。

(まぁ、他知らんけど。)



入力した伝票は、普通はファイリングすると思う。

普通は。


でも、咫穢臀さんの場合は違う。


プラスチックのカゴにINや。


百均で売ってるA4サイズの便利なカゴ。


机の棚の上にあるそれにIN。



入力した順にINやから、仕入先も日付も何もかもバラバラ。


しかも、それファイリングするんはうちの役目やねんでー(泣

カゴINは許そう。


バラバラなんも許そう。



個人の自由やからな。


でも、許されへんことがある。


うちは、片付けが好きでファイリングも得意や。

それに伝票が溜まるんは性に合わん。


だから、入力済分は溜まらんうちにファイリングしててん。


誰でも見易いやろ。


ってか、ファイリングの意味ってそこやろ。



でも、咫穢臀さんは違ってん。


うちが溜まったら大変、探す時楽にしよう、そう思ってファイリングしてたら何て言われたと思う?


それはやな…………





「そんなキッチリしてたら息が詰まるわ。」

はぁぁぁぁぁっ!!!???



今、このおばちゃん何て言うた?


息が詰まる、やて?


キッチリしてたら……??



と、内心こんな感じやったけど、うちは偉い子やから文句なんて言わへんで。



「……分かりました。」



笑顔貼り付けて、これで終わりや。



因みに、息が詰まる言われたから放っておいて言われるまでやらんかったら………



「溜まってるけど、ファイリングしないの?」



…………。(怒



どないしたらええねんっ!!


おばちゃんの鈍い思考回路にはついて行かれへん……



ってか、ファイリングってキッチリしてたらあかんかったんかなぁー(遠い目

Chapter3






Chapter3







毎朝な事務所の掃除すんねんけど、うちと角橋さんだけやねん。

理由は、他の人がうちと角橋さんより30分~1時間半ぐらい遅い出勤やからや。(重役出勤かっちゅーねん!



角橋さんは、トイレの拭き掃除。

このトイレ壊れてんねんけどな。
理由は忘れてもーたけど。



で、仕方がないからトイレは2階にあるのを使ってんねん。



で、角橋さんのトイレ掃除の間にうちは……

事務所の周り(反対側の道路までやで)のゴミ取り

事務所の掃除機がけ(縫製しとるから糸屑いっぱい)

2階のトイレにある手拭きのタオル洗い(手洗いやで)



これだけしたら30分は経過する……


朝から疲れるわぁー(疲労困憊

朝一で掃除かけても、縫製しかけの商品とか移動すると糸屑落ちんねん。


マットとかひいてるから取るの絡まって余計に大変やねん。

電気配線が交錯しまくりやから、マットどかされへんしな(溜め息


そんなんですぐ散らかるから掃除機は朝かけんねんけど、今でも忘れられへん咫穢臀さんの一言があんねん。



うちが朝掃除機かけて1時間半後出勤した咫穢臀さん。


散らかってんのは日常にも関わらず……



「汚れてる。ちゃんと掃除したん?」



…………はい?



掃除機かけたし、汚してんのはうちちゃうし、1時間半も経ってりゃ汚れるやろ(怒



と、内心イラついたんやけど、まぁお局様や。

逆らわん方がええ、と判断して


「すみません。今手が離せないので、これが終わったらやります。」



と、しおらしく返事したんやけど、お局様は我が儘やった。

掃除機を持ってきて、
なんとかけ始めた!!!



角橋さんが電話をしている最中にも関わらずや!
(掃除機は業務用ででっかい音がすんねん)


立場上うちがやらなあかんから、うちが急ぎでやってたお客さんの業務を止めて、「やります」ってゆーてんのに………


無視。


仕方がないから、業務に戻ると……(忘れられへん一言、ここやで)



「私、掃除婦ちゃうねんけど。」



………はっ?



一瞬意味が理解出来ひんかったわ。



掃除婦ちゃう?



うちだって違うわぁぁぁ!!!(絶叫

余談やけど、交代制は絶対無理やねん。


出勤時間が違うからや。


しかも咫穢臀さんは、

仕事前に掃除をする、
女は掃除とお茶汲みは当然

って思い込んでるからな。



自分でせーへんくせにな。

女やったらうち以外にもおるしな。


でも、事務所のゴミ集めは帰る時でええねんで。

これもうちがやんねんけどな(呆



お局様の扱いって難しいなぁ(悩

Chapter4






Chapter4







続いては、事務には欠かせない請求書発行や。


得意先、請求書やから売先やけどな、2000件もあんねん。

ちっちゃい会社やのに、なんでこんなに多いかっていうと……


売り先におっきい会社があって、そこのグループ企業への売上が多いからやねん。



大まかやけど商品別に口座管理してて、

グループ企業別
商品別


やから、枚数が多いのなんのって!


月に4回締日があんねんけど、

咫穢臀さんは、担当外らしく全く知らん顔。


角橋さんは、「いけるやろ」と言いつつ、一番多い末締だけは10分の2ぐらい手伝ってくれる。


まぁ、手伝ってくれる理由は、昼過ぎてから締めるから、うち一人だけやったら郵便局閉まってまうからやで。

因みに、うちが勤める前は請求書発行は
社長の奥さん(両方40代やで)である鶏虎(ケイコ)さんと
角橋さんの2人がかりで

次の日(2日)までかかってたらしいで。



いくらなんでも、かかりすぎやわ……

Chapter5






Chapter5







さて、下っぱ事務員はお茶汲みも仕事や。



お客さんに淹れるんはええねんけど、従業員にまで入れろときた。


最初の何ヵ月かはやったけど、後はフェードアウトしていったで。



咫穢臀さんはグチグチ言ってたようやけど、自分が飲みたいだけやからな。


うちは秘書ちゃうねん!

自分で飲み物持ってきてるしな!



自分のついででもあれへんし、媚売るような相手でもあれへんし……

つか、強制されるようなもんやないっ!




時代は目まぐるしく動いてんねんで!!!

あぁ、そーいえば、


お茶汲みは女の仕事ゆうてた咫穢臀さんやけどな、


自分でお茶汲みなんてせーへんで。


全部うちを顎で使うだけや。



電話してても、違うお客さんの対応してても、終わったら入れる。


うちがな。


何十分経過しててもな。



「はよお茶入れや。」



………お客さん待たせてんのあんたやぁー!!!

Chapter6






Chapter6







出金処理もやってんねん。



まず、咫穢臀さんがカゴにINした伝票を丸々1ヶ月分を整理。


枚数が多い上にバラバラやから、1時間はかかんねん……(はぁ


うちが処理した伝票は、その都度ファイリングしてるから問題ないねんけどな。



そっから、仕入れ先から来た請求書と伝票を漏れがないかチェック。


未納の商品の伝票は発注書と一緒においてあるから、それ以外は大抵漏れは無いで。



それが終わったら、やっと電子の方に移る。



ここまで合計2時間。


広げへんと整理出来ひんぐらい膨大な量やから、机で出来ひんねん。


かといって、机以外に場所ないから事務所で一番でかい机がある応接室でいつも作業。


お客さん来ないかヒヤヒヤや。

電子、つまり会計ソフト

それに入力されている仕入合計額



仕入れ先からの請求書の額


が一致していたらOKや。



でも、これがすんなり一致してくれへんねや!


しかも、咫穢臀さん入力分ばっかり。



人間やから間違えることもあるやろう。


でも、間違える率が半端ないねん。




仕入れ先500件あるから、つき合わせるだけでも大変やのに、作業増やさんといてー(泣

Chapter7






Chapter7







ちっちゃい会社でも、蜀仙は出荷がやたら多い。


グループ企業向けが主やけどな。



特に、咫穢臀さん担当の商品がめっちゃややこしいねん。


数種類の仕入れ先から
数種類のカタログ(1つの仕入れ先でも幾つかあんねん)をお客さんに送る。



で、お客さんが気に入った商品を一旦蜀仙に入れて、グループ企業ごとに送んねん。



一旦入れんのは、咫穢臀さんが面倒やからや。

いちいち送り先のグループ企業の住所とか書くのが嫌らしい。


だから、咫穢臀さんの仕事はカタログから注文して伝票作って終わりや。


それを仕分けして、検品しながらまとめて、荷造りして、送り状書いて、送んのは


うちの仕事や。


頭、痛なってくんで。ほんま。

せめて、送り状書いてくれると有難いねんけどな。

咫穢臀さんは、絶対せーへん。


運送屋の人が来て、うちが早よせなって急いでる時も



「早くしーや。待ってはるで。」



椅子に座って、のんびりお茶をすすりながら咫穢臀さんは言う。



運送屋の運ちゃん苦笑いや。



ほんま、恥ずかしかったわ~



「急がんでも大丈夫やで。」



と、運ちゃんが優しくゆうて荷造り手伝ってくれたんは嬉しかったわ!



角橋さんおらんくて重い荷物1人で運ぶの大変で、めっちゃ助かったんや。



運ちゃんの仕事増やしてもーて申し訳なかったけど、運ちゃんありがとうな!

Chapter8






Chapter8







うちには、蜷縄(ニナワ)さんっていう40代の男の営業さんが1人おんねんけど、海外進出の為に海外に行ってもーてん。


まぁ、そこまではええんや。


けど、その後、蜷縄さんの代わりを誰も入れへんかってん。


だから、そのしわ寄せがうちと角橋さんに全乗せや。


蜷縄さんがやっていた営業回りはやる人おらんし、クレームの時だけ角橋さんが得意先に出向くスタイルになってもーてん。


新規開拓出来ひんから、既存ばっかでグループ企業頼みや。



子会社ちゃうねんけどなぁ~

一般事務+経理事務を目指しとったのに、こんな感じで営業事務になってもーた(泣



あんま得意ちゃうねん。

電話とか。



もう、慣れたけどな。



発注書貰って、縫製して、納期を進行状況やら考えて交渉して、伝票作って、荷造りして、納めたと連絡して……


一連の流れはこんな感じやな。

まぁ、普通やと思う。


流れ的には。



でも、普通は営業と一緒にやることや!

うちは営業ちゃうねん!



営業1人はいるわ!お客さんのこと考えたれやー!!!

Chapter9






Chapter9







(株)蜀仙には、うちが入る3年ぐらい前から外国人が1人おってん。


辞めてもーてんけど、戈殳(カシュ)ちゃんゆうねん。


戈殳ちゃん、みんながちゃん付けで呼んどったからうちもそれに倣ったんやけど、うちより10も年上やねん。


戈殳ちゃんがまたカオスやった。



私用の電話
音楽を聞く
お菓子を食べる
お喋りをする
携帯でテレビを見る
私物の宅配先を会社の住所にする




事務方やなくて、縫製の方やってんけど、自由過ぎるわ。


いくら文化の違いがあってもあかんやろ………

まぁ、間違いとか日本の働き方とか分からんからする。

と、うちは思ってんねんけど、普通は教えてくれるやろ。

間違ってるで。って。



それが、蜀仙は違ったんや。


戈殳ちゃんやからしょーがない。




…………えっ?!



間違ってることやんな?

電話も取らんと、やで?

優しくすんのと甘やかすのは違うで。




うちが戈殳ちゃんに言えたら良かってんけどな……


指導の立場やないからなぁ…



戈殳ちゃんは素直やしめっちゃ良くしてくれたから、辞めてもーて残念やわ(悲

Chapter10






Chapter10







会長のことでも話そか。


会長は70代で社長の父親や。


まーこの会長のカオスっぷりは半端ないで!


自分中心さが半端ない。

咫穢臀さんの比やないで!



普段2階おんねんけど、10分に一回は内線が鳴る

用は、書くんも面倒な下らんもんばっかり。

しかも、この会長は待てが出来ひん。

お客さんおっても、急ぎの仕事してても、荷造りしてても、


自分の用が先。


唯一待つんは電話中やな。



同じく70代の奥さんである綾牝さんを呼ぶ時何てゆうと思う?



「おーい」


しかも、大声で連呼。




何故か分かる?


動きたくないからや。


内線も連呼も、自分の机から。


で、呼んでおいて自分の用件が済むまで待て、やで!


文書作る時なんか最悪や。


そういう時って、作って欲しい文面紙に書いて渡すやんか。


この会長、うちが来てから書き始めんねん。

考えながら書くから時間かかりまくりや!


その時間で、他の仕事したいねんけどなっ!(怒

怒鳴り声も半端ない。


1階におっても聞こえてくんねん。



受話器やっておっきな音立てて置くし、女性に対して貴様とかゆうし、人が間違えると怒鳴るのに自分の間違いはすまんの一言やし。


パソコンのことを教えてくれとゆう割には、覚えようと努力せーへんし、うちが書いた紙を1時間で無くす。


小学生の方がまだ賢いわ。



それに、元気付けのつもりやろな。

背中をおもいっきりたたいてくんねん。

痛いゆうても止めへん。



セクハラとパワハラで訴えたら、勝てるレベルやで。

この年代の性格は他人がゆうても聞き入れず治らないゆーことは承知の上。


や・け・ど、後輩が入ってこーへん職場やからパソコンに詳しいのもうちしかおらん。

といっても、うちも普通より知らんからめっちゃ困るねんけど。


そんなんで、パソコンやら下っぱやから雑用とか必然的に回ってきて他の業務をめっちゃ圧迫。



仕事にならんって、社長、つまり息子にゆうても、



「すまんなぁ。堪忍な。」



まさかの一言だけで、改善する気全くあれへん!



自分の親ぐらい何とかせーや!!!



しかも、昔はデザイナーとかおったらしい。

2階にデザイン室があんねん。(今は物置やけどな)



でも会長が煩すぎて、結局みんな辞めたらしい。



………辞めて正解やわ(納得

まーこんな感じで、
会長以下一族とうちは、
性格上全く合えへんねん。



最初はな、仕事やし笑顔でスルーしてきてん。

でも、我慢の限界を越えてもーた。


温厚なうちも、堪忍袋の緒が切れたちゅーこっちゃ。


緊急の用以外は返事だけして後回しにして相手にせーへんかったり、分からんふりしてとぼけとる。

まっ、後回しやけどちゃんとやるで。

仕事やからな。



新人やからって、最初から飛ばして頑張ってもーて甘やかし過ぎたなぁ。


もっと経営の中枢に近付く仕事したいねんけど、合わせんとめっちゃ煩い。


成長出来きひんし、頑張っても評価など無意味やから、レベル落としたわ。


低レベルに合わせるんは
ストレス溜まるわ~(疲

Chapter11






Chapter11







会長繋がりでもうヒトネタいこか。


入社してすぐ、会長が窓口の得意先から打診があってエプロンのリースを始めたんや。


縫製して納品、で分割支払い。


……までは、良かったんや。


得意先がエプロンの洗濯まで注文しよった。


しかも、2、30枚を1ヶ月に1度。

納品したん300枚やねんけど!

洗濯数、ほぼ一割しかないやんか!



勿論、会長は自分でせーへん。

洗濯の仕事なんてしたことも無いのに良い顔したくて引き受けて、結局うちに押し付けや。



(株)蜀仙は、受注生産の会社!

あんたが作った会社やろっ!

洗濯(正式名知らんけど、意味は洗って乾かして畳んで納品の一連作業ってこと)なんてどーすんねん?

っと思っとった。



しかぁーし、答えは簡単やった。

うちの家の真反対方向で知らんかってんけど、蜀仙から徒歩5分のとこに、コインランドリーがあるんや。


そこで洗濯、やて。


……うん。意味が分からん。



1ヶ月に2、30枚しかないエプロンを何故蜀仙が?


納品の枚数的に専門の業者とかは?


お客さんに納めんのにコインランドリー?



そして、何故うちが?!




疑問符飛びまくっとったわ。


ほんま腹立つわぁ~!


歩いて行けるし、月一やし、2、30枚だけやし、簡単やろ。


っていう態度と顔。

歩いて行けるけど、徒歩5分ってことは往復10分。


2、30枚なんて手で持ち運びなんて出来へんから、台車へ積む。


洗いに30分、乾きに30分、洗濯機と乾燥機は別々やから一々往復。


薄手と厚手があり、厚手は乾きにくいから小分け。そのせいで、乾燥機埋まる。


埋まるから、他のお客さんの迷惑を考えたら時計チラチラ見ながらヒヤヒヤ。


両替機なくて、100円玉しか使われへんから、一々鶏虎さんにお金を貰う。

因みに、鶏虎さんの持ち合わせが無い時は銀行へ両替に行くんやけど、それさえ待たれへん。

札やるから両替してこい。


内線やけど、キレそうになったわ。



そして、金額的には1回3000円ほど使う。

リースの売上しかないから赤字やで。



赤字やのに、合計2時間以上もかけてうち何やってんだろ……(呆

Chapter12






Chapter12







さて、蜷縄さんが海外に行ってもーて早数ヶ月。


今までは外注しとった縫製作業等を事務所でやることになってん。

1階奥が物置場からミシン場へ大変身や。



新しい職員が4人増えたから一気にご紹介や。



会長時代から付き合いの襷苳(タスキドウ)さん。

会長と同じ70代で背のちっこい女の人や。


縫製作業全体を仕切っとる。


数年前までは、自営で縫製工場しとったらしいけど、旦那さんが病気で倒れて一度辞めたらしいねん。


でも、うちで自社工場作るゆうて話つけたらしいわ。


だから、内職作業の繋がりはあるらしくて重宝しとる。

次は、ミシン踏んどる杤吐(トチバ)さん。


サザエさん的なフワフワ頭の女の人。

襷苳さんとは同級生やねん。



もう一人、ミシン踏んどる人がおんねん。


番濡雌(ツガヌメ)さんや。


襷苳さんの娘さんでな、40代のお母さんや。



親子で同じ行動……主に事務所出る時に必ずといっていい程忘れもんするで。



ほんま親子って変なとこばっかり似るんやなぁ(諦



最後は、妻傳(サイヅタ)さん。


60代のちょっとアフロな女の人。


出来上がったエプロンは、所々皺がついとる。

それを、アイロンかけるのと、畳んで袋に入れるのが仕事や。

以上、新入り?紹介終了や。



と、ここまでで皆気付いたやろか。



男手がめっちゃ少ないことに。



布製品って結構重たいねんで。


会長は絶対動かんし、

社長はほとんどおらんし、

蜷縄さんは海外やし……


おかげで筋肉めっちゃついたけど、角橋さんおらん時は、ほんま大変なんや(疲

Chapter13






Chapter13







蜷縄さんが引き継ぎせんと行ってもーたし、縫製作業も手探りやしで、てんやわんやしとった。


それも、落ち着いた頃、問題発生や。


被害はうちやねんけど、大きく言えば会社にまで及ぶことが次々と。


まぁとにかく、聞いたって。

まず、定期的に出る定番のエプロンがあるんや。

海外縫製でな、めっちゃ乱雑につめらてんねん。

それを畳んで袋に入れるんや。


担当(電話の窓口)は咫穢臀さんやねんけど、作業をすんのはうちや。


どれだけ枚数があろうと咫穢臀さんは電話の窓口だけ。

まぁ、それはええねん。

諦めとるから。


で、畳む→袋詰め→出荷がうちがする流れやねんけど、

出荷が重なると間に合わんくなることがあるから

手が空くor手が空かなくても

後々自分が大変にならんように無理矢理畳むようにしてんねん。

でも、畳んどったら襷苳さんがトコトコ、うちんとこ来て



「それ、急がんね。こっちやって。」



担当エプロンをドサッと目の前に積み上げだした。


目の前の出来事に固まってしもうた。


て、手伝えと?!


特に急ぐ必要がなく、納期も迫ってないものを?!



うちが、困る理由ゆうても、



「そんなもん後で出来るやろ。」


「早く出荷しなあかんやろ。」


「皆の仕事や。断るなんて言語道断や。」



って、襷苳さんと鶏虎さんと咫穢臀さんとで非難の応酬や。



結局出来んと、発注来てから出荷の時に急いで入れへんとあかん始末。



因みに、手伝わせるのはうち私限定

杤吐さんと番濡雌さんは我関せず

妻傳さんは危機感がなく

襷苳さんは手伝わせる前提



事務では下やけど、縫製よりは先輩やねんけどなぁ

うち担当のエプロンも襷苳さん担当のエプロンも
嬉しいことに終わることはないんやけど


色んなことが重なるとまー大変!


襷苳さん担当エプロンを袋に入れた後、出荷すんねんけど、伝票を作るのはうちの役割やねん。


まぁ、営業事務やな。


で、枚数分からんから、襷苳さんが荷造り終わってから伝票作るねんけど、入力が細か過ぎて時間かかるねん。


だから普通は、余裕を持ってやるか次の日にするとか早めに言うとかするやろ?
(襷苳さんにも説明済みや)



ところが、や。

襷苳さんは、普通やなかった!


何もかもギリギリorうちが手伝っていても定時でサヨナラや。


結局、伝票作るうちだけが残業!



ほったらかしっっっ!!!