「三藤先輩…僕…まだ、先輩に言ってないことがあって、先輩に、今、伝えようと思います。」

先輩は黙ってうなずいた。
「僕にはお母さんがいて、僕はお母さんが大好きで。
ある日には二人で星空を見に行ったんです。確か…どこかの丘に。そのときにお母さんは、もし私が死んだら、天国の私に手紙を書いてねって言ってて、そのときにお母さんはまだ死なないよって笑ってたけど、
お母さんは…僕が七歳のときに亡くなったんです。」

うん、と先輩はうなずいた。
「恥ずかしいけど、最近、その約束を思い出して、手紙を書いたんです。そしたら…信じてもらえないかもしれないけど、お母さんが夢の中に出てきて、手紙の返事を書くから、待っててねって言ったんです。
もしかしたら…大会にお母さんも見に来てくれるかもしれない。だから…」