これは、蘭葉高校という学校のお話――――
「おい、校庭行くぞ‼」
毎日のように飛び交う言葉
「はいはい」
沢山の男子が遊んでいる中、1人だけ女子がいる
その子の名前は―――
「ユキ‼こっちだぞ‼お〜い、亀川ユキ‼」
キーンコーンカーンコーン
「はい、今日の授業はここまで」
椅子を引く音が響く。
そんな中、私は弁当を持って、いつも所へ向かう。
「ユキ、今日も髪がボサボサだぞ?少しは女子らしくすればいいのに…」
学校で一番の仲良し、鷹梨 晃(たかなし ひかる)の席だ。
「うるさい!女子らしくすんのは苦手なの‼晃が一番知ってるでしょ‼」
そう。
私は女子らしくするのが苦手で、いつも男子と一緒。
休み時間もいつもそう。
晃とは中学校からの付き合いで、高校2年生となった今でも仲良くしている。
「へいへい」
「……」
別に、悩みっていう訳でもないからいいんだけど…
「それより、ユキ」
「ん?何?」
「転校生、この学年に来るって噂、聞いた?」
…………………転校生?
…転校生この学年に来るの?
「どこから…?」
「ん〜、それは聞いてないけど、結構遠いとこだって。」
遠いとこか……
「へ…へぇ〜」
「何動揺してんだよ。まさか…そいつの事、気にしてんのか?」
「ど…動揺なんかしてない‼うるさい‼」
「はいはい。」
「でも、どうせ晃の言うことだし、ウソだろ?」
「知りませ〜ん」
はぁ、晃なんてキライだ。
でも、晃の言っていた事はウソでは無かった。
あの話をした1ヶ月後の10月中旬。
体育祭が終わった次の月曜日である。
転校生が来たのだった。
「えっと、伊原 大河(いはら たいが)です。仲良くして頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。」
前で自己紹介をする転校生。
高めの身長で、女子からはキャーキャー言われそうな美少年だ。
頭も良さそ〜。
「伊原君は鷹梨君の横の席に行って頂戴。窓側の席の一番後ろよ。」
先生が転校生に言う。
マジか…晃の隣…
やっぱり、遠くから来た人だし、私が女子らしくないのは知らない訳だ。よって、その人に対しては頑張って女子らしく振る舞うことも出来る。
なんか、いいように思われたいな〜
せっかく晃の隣なんだし、喋られるかな?
そんなことを思っていたらすぐ、昼休みは来た。
「晃〜」
「お、ユキ‼大河も一緒にご飯食べることになったぜ‼」
「もう、大河って呼んでるの?」
「なんか、すっげー仲良くなっちゃって」
へぇ〜
いいな〜
……あれ?
なんで“いいな〜”なんて思ってるんだろ…
「コイツはユキ‼いっつも一緒にご飯食べてる友達。」
「宜しくね、ユキちゃん。」
ユユユユ………ユキちゃん!!??
「あ…ど…どうも亀川 ユキです…。宜しくお願いします…」
「なんでユキそんなんなの…?」
「へ?」
「いっつもうるさいのに」
「な…ちょっと‼」
晃〜!!!!!
やっぱり晃はキライだ。
「ハハハ、2人は仲いいね‼付き合ってるの?」
『付き合ってない‼』
2人同時に叫ぶ。
「っていうか、大河。ユキのことユキちゃんなんて言わなくていいよ〜」
晃…それはどういうことだ…
「え?じゃぁ、ユキって呼ぼうかな。良い?」
「え…?あ…もちろん‼」
な〜んだ、そういうことか〜
亀川って呼ばれるかと思った〜
「じゃあ、ユキは僕のこと大河って呼んでね‼」
「え!あ!うん‼」
なんか…転校生と仲良くできたのは嬉しいな〜♪
嫌われなくてよかった〜
「とにかく、早く弁当食べよーぜー」
晃が言う。
「あ、確かに」
「僕、転校先で1人になったらどうしようって思ってた〜」
「多分、大河だったら大丈夫だったと思うよ」
「あぁ、オレもそう思う‼」
「ほんと〜?」