知りたいことは沢山あるが
欲張ってはいけない。

「二人が高校生の頃の
話が聞きたいです」

雪村と的木先生は
どんな高校生だったんだろうか?

「わかった」

きっとモテたんだろなぁ。

「まず最初に、
俺も静も真面目な
生徒じゃなくて
よく二人でよく怒られたよ」

それは意外だ。

「雪村は
わかりますけど的木先生も?」

「うん。
因みに俺たちは
河路の卒業生なんだよ」

他の生徒が
知らないことを知れて嬉しい。

「じゃぁ、
先生たちは僕たちの先輩ですね」

そういうことになるのか❢❢

「煤宮先生は
俺たちの担任だったんだよ」

あのおじいちゃん先生が
雪村たちの
担任だったなんて吃驚だ。

煤宮先生は六十過ぎの
おじいちゃん先生で
色んな相談にのってくれるから
生徒たちの間では
的木先生の次に人気だ。

「優しいですよね」

慎がしみじみ言うと
的木先生は
ちょっと困り顔をしてから
「あぁ、今の生徒には
優しいよね」と言った。

今の?

「俺たちが学生だった頃は
とっても怖かったんだよ」

「なぁ静」

同意を求められた
雪村は煙草を灰皿に
押し付けて消した。

「そぉだな、何時も怒鳴ってたしな」

あの煤宮先生が
怒鳴ってるところなんて
想像できない……

「意外だね」

慎も同じ事を思ったみたいだ。

「だよな」

俺たちには優しくて
先生というより
本当のおじいちゃんみたいな感じだ。

「きっと、俺たちの時は
息子みたいな感じで、
今の皆は
孫みたいな感じなんだと思う。
煤宮先生も歳とったから
少し丸くなったのかもね」

その後、雪村が意外にモテたとか
二人で同じ人を好きになったとか、
色々な話をを沢山聞かせてもらった。

その後食べたパスタは
とても美味しかった。

「ごちそうさまでした」

二人に向かって言った。

「美味しかった?」

「はい、とても
美味しかったです」

あのカルボナーラ
家で作れるかな?

「それはよかった」

学校では見れない二人がいる。

まず、私服だし
煙草を吸ってる的木先生とか
ある意味レアだよなぁ。

そして、スーツの時と
違って実年齢よりも
若く見えるし、
下手すれば大学生でも
通りそうだ。

そんな心の声を
またしても、慎が
言葉にした。

「今日の先生たちは
大学生くらいに見えますね。
雪村先生も何時もより
格好いいです」

雪村も黙ってりゃ
格好いい部類に入るだろうな。

「それは嬉しいが
《何時もより》は余計だ」

「ごめんなさい」

素直だなぁ。

「まぁいいけどな」

この空気が気持ちいい。

「そぉだ、今、
三組でやってるGAMEなんだけどさ」

話が戻ったな。

「染野が始めたアレですか」

内容が気になるのか?

「うん。
何でそんな事
始めたんだろうと思って」

内容じゃなくて
理由(わけ)を知りたいのか。

「あいつは昔から
気紛れでしたから、
今回のGAMEも意味は
ないと思いますよ」

染野のやる事は
何時だって無意味なことが多い。

「強いて言うなら
単なる暇潰しですよ」

金持ちの考えることは
さっぱりわからない。

「中学の時から
ずっとそうなんです」

五年も一緒だが
理解不能なのは変わらずだ。

「三人は中学から一緒なの?」

「俺はそうですね。
慎と染野は
幼稚園からの
幼なじみなんですよ」

俺は染野にしてみれば
邪魔者なんだろう。

「なぁ? 慎」

「うん、だけど
僕には聡君の
考えてることはわからない」