「まぁ、幼なじみだからって
考えてることが全部
わかるわけじゃないからね」

そぉなのか。

俺は幼なじみなんて
いないからわからない……

「俺も静と二十年
一緒にいるけど時々だけど
未だに何考えてるかわからないし。
静もそぉだろう?」

「確かにな」

やっぱりそうなのか……

「だから、笹山君も
気に病むことないよ」

的木先生の言葉で
少しは気が楽になったらしい。

「わかりました」

苦笑いのような笑みを
浮かべて慎は応えた。

話に区切りが着いたところで
GAMEの話に戻る。

「鈴川の奴、逃げられてるかな?」

今日が土曜だから
明日捕まらなければ
鈴川の勝ちだな。

もしかしたら、
もう捕まってるかも
知れないけどな。

「どぉだろうな」

出来れば逃げきって
くれればいいと思うが
鈴川じゃ無理だろうか……

「まぁ、結果は
月曜にならないと
わからないってことだな」

そりゃそうだ。
確かめる術はないしない。

鈴川とは仲がよくないから
勿論、ケー番も知らない。

「だよなぁ~
そしてまた新しい
ターゲットを探すんだよ」

慎を抜いて俺に
戻るまで繰り返されるんだ。

「かなり酷なGAMEだよね」

今週は追いかけてた側だったのに
来週は追いかけられる側に
なるかも知れないのだから
確かに酷だろう。

特に気が弱い奴はプレッシャーに
耐えられないだろう。

「そぉですね。
だけど、慎だけはターゲットに
しないと思うんですよ」

大体、俺を最初のターゲットに
したのだってやきもちからだ。

「何で?」

的木先生から
質問が飛んできた。

「慎は染野のお気に入りですよ」

「そぉいえば、
この前もそんな事言ってたよね?」

俺にばっかり
ちょっかいを出すのは
慎を取られて悔しいんだと思う。

「先週のGAMEで
何で最初のターゲットが
俺だったかわかるか?」

ちょっぴり天然な
慎には難しいか?

「たまたまじゃないの?」

やっぱり難しいか。

「違うよ」

考え出した慎とは逆に
的木先生は
わかったという顔をした。

「あのさぁ、それ
俺が答えてもいい?」

「はい」

迷いなく言った。

「ようは嫉妬でしょう?」

「当たりです」

雪村ですらポカーンとした
顔をしていた。

「染野君は春日井君に
笹山君を取られたみたいで
悔しかったんだよ」

今度は慎が
ポカーンとした顔をした。

「だから、春日井君を
最初のターゲットにしたんだ」

その言葉に慎は
俯いてしまった。

「おい、
慎が気にすることじゃないぞ」

俺は
これっぽっちも気にしていない。

「でも貴也……」

小さな声で
慎が名前を呼ぶ。

「俺は最初から
わかってたんだ」

そう、わかってたんだ。

慎を取った俺への嫌がらせだと。

余談だが、鈴川は
昨日つまり金曜の
放課後は捕まっていなかった。

無事に帰れたかは
不明だが……

「だから、慎が
気に病むことじゃ
ないから顔を上げろ」

恐る恐ると
いった感じで
慎はやっと顔を上げた。

おっと、また話が脱線したな。

「このGAMEって
全員に回るまで
続くんだよね?」

そうだろうなぁ。

「恐らくは」

何ヵ月かかるんだか……

そして、何人の
クラスメイトが逃げ切れるだろうか?

「染野君を止めるのは
無理なんでしょう?」

止めようとするだけ
時間と労力の無駄遣いだ。

「それは百パー無理ですね。

あいつは言い出したら
聞く耳を持ちません」