鈍く痛む腰を持ち上げ、少し離れたところに置かれた薄っぺらい通学鞄をベッドまで引き寄せる。

中から携帯を取り出して画面を確認すると、新着メッセージが1件。

送信元は、『牧野ユウキ』。



「──愛しの“カレ”から何か来た?」

ギシリ。
背後から聞こえる、スプリングの軋む音。

振り向けば、ついさっきまでとなりで寝息をたてていた坂田が、私の腰にゆるゆると腕を巻きつけてきた。


「……うん、来た」
「なんて?」
「ナナミと喧嘩したって」
「よくやるねーあいつらも」


幼なじみからのメッセージ。
内容は、もっぱら恋愛相談。