天使はきっと泳げない。 だってその白く軽い翼で優雅に空を舞ってばかりで、深海へ飛び込んだことなんて一度もないだろうから。 (……あーあ、まただ) 何度目とも知れない深い息を吐いて、身体を起こす。 鉛のように重い。 けれど羽毛のように軽い。 ベッドから下ろした素足に触れる空気が、ひんやりとくすぐったい。 温まったシーツは妙に柔らかくて、その手触りに沈むような気怠さを感じるのは、そういう行為をした後だからとか、そんなことではなくて。 もっと別の、何かのせい。