*
「えっ!?本当に良いのか?」
「ええ、たいしたものは買えないと思いますが、良かったら…使って下さい……」
「あ…ありがとう……」
次の朝、俺は手持ちの全財産をゆかりさんに手渡した。
全財産なんて言っても、そんなたいした額ではないことはわかってる。
このまま真面目に働いていれば賃金がもらえるんだし、今、住む所も食べるところもあるにはある。
とはいっても、いざという時に一文無しじゃあまりにも心細いから、大事に取っておいた大切なお金だ。
俺は、一晩考えた。
すぐに眠ってしまったから、一晩っていうのは大げさだし、そもそも誕生日会は明後日なんだからそう長い間迷ってられるはずもない。
でも、悩んだのは本当なんだ。
たいしたものが買えないのなら、何も渡さない方が良いんじゃないかとも思うものの、とはいっても、相手はお金持ちなんだから、何も持って行かないっていうのも気が引けるだろう。
常識がないと思われるかもしれないし、馬鹿にされるかもしれない…な~んて、いろんなことを考えて……
でも……きっと、ゆかりさんは美戎にプレゼントをしたいだろうって思ったから、結局は、それが決め手となって、俺は次の日の朝、持っていたお金をすべてゆかりさんに渡したんだ。
ゆかりさんは、ちょっと戸惑った様子もあったけど、それでもやっぱり嬉しそうにして、俺の出したお金を受け取ってくれた。
ちょっと悔しいような気もするけど、ゆかりさんに喜んでもらえたら、それで本望だ。
「じゃあ、今日はみんなを連れて、町に買い物に行ってくるよ。」
「え…でも、でかめ以外はまだあんまり歩けないし……」
「大丈夫だ。籠に入れて背負っていくよ。」
そう言ったゆかりさんの顔は、なんだか微笑んでいるように見えた。
「えっ!?本当に良いのか?」
「ええ、たいしたものは買えないと思いますが、良かったら…使って下さい……」
「あ…ありがとう……」
次の朝、俺は手持ちの全財産をゆかりさんに手渡した。
全財産なんて言っても、そんなたいした額ではないことはわかってる。
このまま真面目に働いていれば賃金がもらえるんだし、今、住む所も食べるところもあるにはある。
とはいっても、いざという時に一文無しじゃあまりにも心細いから、大事に取っておいた大切なお金だ。
俺は、一晩考えた。
すぐに眠ってしまったから、一晩っていうのは大げさだし、そもそも誕生日会は明後日なんだからそう長い間迷ってられるはずもない。
でも、悩んだのは本当なんだ。
たいしたものが買えないのなら、何も渡さない方が良いんじゃないかとも思うものの、とはいっても、相手はお金持ちなんだから、何も持って行かないっていうのも気が引けるだろう。
常識がないと思われるかもしれないし、馬鹿にされるかもしれない…な~んて、いろんなことを考えて……
でも……きっと、ゆかりさんは美戎にプレゼントをしたいだろうって思ったから、結局は、それが決め手となって、俺は次の日の朝、持っていたお金をすべてゆかりさんに渡したんだ。
ゆかりさんは、ちょっと戸惑った様子もあったけど、それでもやっぱり嬉しそうにして、俺の出したお金を受け取ってくれた。
ちょっと悔しいような気もするけど、ゆかりさんに喜んでもらえたら、それで本望だ。
「じゃあ、今日はみんなを連れて、町に買い物に行ってくるよ。」
「え…でも、でかめ以外はまだあんまり歩けないし……」
「大丈夫だ。籠に入れて背負っていくよ。」
そう言ったゆかりさんの顔は、なんだか微笑んでいるように見えた。