*
「じゃあ、行って来ます。」
「あぁ…気をつけてな!」
もう何度こんな挨拶を交わしただろう?
朝が来て、同じようなことを言っては、俺は畑に働きに…ゆかりさんは、小ヨウカイ達の面倒をみながら家事をこなし、そして仕事が済んで戻って来て……
食後に話すことと言ったら、ごくごく他愛ないこと。
その日の天気のこととか、小ヨウカイのことだとか……
そんな中、ゆかりさんは、決まって美戎のことを日に何度か口にする。
美戎はどんな子供だったか。
どんな家に住んでるのか。
家族は……
ゆかりさんは美戎のことが好きなんだって、毎日思い知らされる。
俺は、本当は知りもしない質問に適当に答えた。
美戎と俺は幼馴染ってことになってるんだから、答えないわけにはいかないもんな。
ゆかりさんに話したことを美戎にも伝えとかないと、いつかおかしなことになりそうだ。
仕事の方は日を追うごとに身体が慣れてきたのか、初日程の疲れは感じないようになっていた。
とはいえ、朝早くから暗くなるまで働いてるんだ。
横になったら、そのまますぐに夢の国……朝になるまで目が覚めることはない。
ゆかりさんがちゃんと起こしてくれるって思ってるせいか、本当に良く眠れるんだ。
そんなある日のこと……
「慎太郎…今日、美戎が働いてるお屋敷のお手伝いさんが来て、これを……」
そう言いながら、ゆかりさんは封筒を俺の前に差し出した。
「ゆかりさん…俺…実は字が読めないんだ。」
「あんたもなのか?
美戎もそんなことを言ってたけど……でも、どうしてなんだ?
あんたらの住んでた町は都会なんだろう?」
「お、俺も、美戎も遊んでばっかりで、学校はまともに行ってなかったから……」
俺がそう言っても、ゆかりさんはどこか訝しげな顔をしていた。
確かに、説得力のない言い訳だもんな。
「あ、ゆかりさん…悪いけど読んでくれる?」
俺は、飛びきりの愛想笑いを浮かべながら、手紙をゆかりさんの前に差し出した。
ゆかりさんは、まだなんとなく納得してないような表情に見えたけど、それでも、その手紙を開いて、声に出して読んでくれた。
「じゃあ、行って来ます。」
「あぁ…気をつけてな!」
もう何度こんな挨拶を交わしただろう?
朝が来て、同じようなことを言っては、俺は畑に働きに…ゆかりさんは、小ヨウカイ達の面倒をみながら家事をこなし、そして仕事が済んで戻って来て……
食後に話すことと言ったら、ごくごく他愛ないこと。
その日の天気のこととか、小ヨウカイのことだとか……
そんな中、ゆかりさんは、決まって美戎のことを日に何度か口にする。
美戎はどんな子供だったか。
どんな家に住んでるのか。
家族は……
ゆかりさんは美戎のことが好きなんだって、毎日思い知らされる。
俺は、本当は知りもしない質問に適当に答えた。
美戎と俺は幼馴染ってことになってるんだから、答えないわけにはいかないもんな。
ゆかりさんに話したことを美戎にも伝えとかないと、いつかおかしなことになりそうだ。
仕事の方は日を追うごとに身体が慣れてきたのか、初日程の疲れは感じないようになっていた。
とはいえ、朝早くから暗くなるまで働いてるんだ。
横になったら、そのまますぐに夢の国……朝になるまで目が覚めることはない。
ゆかりさんがちゃんと起こしてくれるって思ってるせいか、本当に良く眠れるんだ。
そんなある日のこと……
「慎太郎…今日、美戎が働いてるお屋敷のお手伝いさんが来て、これを……」
そう言いながら、ゆかりさんは封筒を俺の前に差し出した。
「ゆかりさん…俺…実は字が読めないんだ。」
「あんたもなのか?
美戎もそんなことを言ってたけど……でも、どうしてなんだ?
あんたらの住んでた町は都会なんだろう?」
「お、俺も、美戎も遊んでばっかりで、学校はまともに行ってなかったから……」
俺がそう言っても、ゆかりさんはどこか訝しげな顔をしていた。
確かに、説得力のない言い訳だもんな。
「あ、ゆかりさん…悪いけど読んでくれる?」
俺は、飛びきりの愛想笑いを浮かべながら、手紙をゆかりさんの前に差し出した。
ゆかりさんは、まだなんとなく納得してないような表情に見えたけど、それでも、その手紙を開いて、声に出して読んでくれた。