「ご馳走様。
とてもおいしかったです。」

食事が終わると、小ヨウカイ達は眠くなったのか、瞼をこすりながら自ら部屋に歩いて行った。



「あいつら……」

「あぁ見えて奴らも少しずつ知恵がついてきてる。
根気よく教えてたら、出来るようになって来るんだ。」

「ありがとう、ゆかりさん。
あいつらのしつけまでしてくれて……」

俺がそう言うと、ゆかりさんは不思議そうな表情で俺の顔をみつめた。



「なぁ、慎太郎……
あんた、なんでそんなことを言うんだ?」

「……え?」

俺は、ゆかりさんが何のことを言ってるのかよくわからず、反射的に聞き返してしまった。



「……だから……なんで、ヨウカイの…しかも、かっぱのあたいにそんなに優しくしてくれるのかって聞いてるんだ。」

今の話しぶりだと、ヨウカイと人間の間はそれほどうまくはいってないようだ。
でも、町のあちこちで人間と一緒に働いてるヨウカイもたくさんいるし……



「ゆかりさん、ヨウカイだとか人間だとか、そんなことはあんまり関係ないと思うんですよ。
ゆかりさんには、あいつらの面倒もみてもらってるし、食事の用意もしてもらって、俺はすごく助かってるんです。
ゆかりさんがいてくれなかったら、俺は疲れて帰って来て、それからまた食事の支度もしないといけない。
ずっとほったらかしにしてたら、あいつらのことも心配だし…
だから、本当に助かってるんです。」

ちょっと気恥ずかしかったけど、俺は思っていることをゆかりさんに正直に話した。
ゆかりさんは、驚いたような顔をして俺の話を聞いていたけど、そのうちその表情が少しずつ変わって……



「慎太郎のいた町では、ヨウカイと人間はうまくやってるのか?
あんたや美戎はずいぶん都会から来たんだろう?」

「えっ…えぇ、ま、まぁ……」

「そこにはかっぱもいるのか?」

「え?は、はい、まぁぼちぼち……」

俺の世界にはヨウカイなんていないとか、俺はそもそもこことは違う世界から来たなんて言えるはずもないから、俺は適当にそんな風に答えたんだ。




「ほ、本当なのか!?
ど、どこなんだよ、あんたらの町は……!!」

「え……ええっと……そ、その……」

ゆかりさんの食いつきようはすごいものだったから、俺はなおさら返事に困ってしまった。