「さて…と。
では、この中から一つを選ぶんじゃ。」

そう言って老人が食卓の上に並べたのは……
大きめのピーナッツみたいな木の実…?真ん中はくびれてないけど、なんかそんな感じのものだ。



「選ぶって…どういうことです?」

「つべこべ言わず、直感で選ぶのじゃ!」

「じゃ、じゃあ、これ……」

急かされて反射的に俺が選んだのは、右端のものだった。



「それじゃな…本当にそれで良いんじゃな?」

「え……じゃ、じゃあ、こっち!」

なんのことだかわからなかったけど、そう言われると俺はやっぱり違うものの方が良いような気がして真ん中のものに変更した。
それと同時に聞こえた大きな舌打ち……
な、なんだよ、変えちゃいけないのかよ。



「……では、それを割るのじゃ。」

老人の顔がなんだか不機嫌そうだ。



「こ、これを……?」

相変わらず何のことだがよくわからない。
だけど、早くやらないとますます老人の機嫌が悪くなりそうだったので、俺はその木の実のようなものを半分に割った。



「ぎゃあーーーー!」



割った途端に、そこから子犬くらいのおかしなものが飛び出して、床の上にどさっと落ちた。
そいつは、床にうつぶせになって手足を伸ばしたまま動かない。
ま、ま、まさか、落ちた時に打ち所が悪くて……
っていうか……何なんだよ、これ!?



「うわっ!」



心配しながら見ていると、そいつがもそもそと動き出し、ゆっくりと立ちあがり俺の方に向き直った。
ば、化け物だ!
SF映画で見たなんとかいうモンスターにちょっと似てる。
人間の原型には似てるものの、茶色いたるんだ皮膚にはどこにも毛がなくて、そして……異常に足がでかい……!
身体の大きさに比例してないでかさだぞ!



「あ……あ……あしでか~~」



子猫のような声でそう言うと、次の瞬間、そのモンスターは俺の片足に抱きついた。