「じゃあ、どういう問題なの?」

「どういうって……」



確かに、そんなことがあるはずはないんだが……でも、実際にそうなってるんだったら、それで良いのかもしれない。
これは天の助けとでも考えるべきか。



(……あっ!!)



「美戎、じいちゃんには連絡したのか?」

「してないよ。
僕、おじいちゃんの連絡先知らないもん。」

「じゃ、ちょっと貸してくれ!」



そうはいったものの、いざ電話をかけようとするとじいちゃんの番号が思い出せない。
いつも、電話帳任せにしてたから、記憶してないんだ。



(くそーーー!なんてこった。あ、でも、メアドなら覚えてる!
行けいけかんちゃんマン…なんてふざけたメアドだからな。)



「美戎、メールを送る画面にしてくれ。」

美戎は素直に俺の指示通りにしてくれた。



だけど、メール画面にはしてもらったものの、なんて打ちにくいんだろう。
ガラケーでも決して早くはないけれど、人差し指で打つと、ガラケーよりさらに遅い…



『じいちゃん、慎太郎だ。
今、美戎にスマホを狩りてこれを打ってる。』



「あーーーっ!」

変換を間違え、修正しようと思ったら画面ごと消してしまった…
最初からまたやり直しだ。



「すまん、美戎…
メール画面に戻してくれ。」

「慎太郎さん、僕が代わりに打とうか?」

「……大丈夫だ。」



本当は頼みたかった。
でも、こんなことも出来ないのかと思われるのがいやで、俺は意地を張ったんだ。
なれないタッチパネルで、もたもたと打ち続けていたその時……
突然、画面が暗くなった。




「あ、あれ…どうしたんだ?」

「え……わ……電池が切れてる!!」

「電池が…?
充電器は?」

「そんなの持って来てないよ!」

「なんで持ってきてないんだ!これじゃあ、じいちゃんと連絡取れないじゃないか!」

「慎太郎さんがメール打つのに時間かかりすぎたせいだろ。」

「そんなの仕方ないだろ!俺はガラケー派なんだから!」

「あ~あ…これでもう呟きも出来ない…画像も取れない……」

美戎はそう言って、とても寂しそうな顔で、スマホの真っ黒な画面をのぞきこんだ。