「…そうなんだ。
でも、なんで、じいちゃんは君の家に行ったんだろうね?」

その晩、俺は美戎からここに来ることになったいきさつを聞いた。
なんでも、じいちゃんが美戎の住む家…家っていってもごく普通の家じゃなくて、旅館をしているらしいんだけど…とにかく、じいちゃんがそこに来て、それで美戎が僕を探しに来ることになったらしいんだ。



「それはわからないけど……
多分、たまたまじゃない?
君を探してあちこち旅行してて、たまたま僕の家に泊まった…って感じ?」

なんだか納得のいかない推理だ。
そもそも、じいちゃんはなんで俺がこっちの世界に来てることに気づいたんだろう?



「さぁ、僕も詳しいことは知らないんだ。
僕は、おばあちゃんから、違う世界に行った慎太郎さんをみつけて来るように言われただけだから。」

「おばあちゃん…?」

「うん、僕のおばあちゃん。
あ、血は繋がってないよ。
旅館をやってるおばあちゃんだよ。」

美戎の話はなんだかよくわからない。



「あ…そうだ、慎太郎さんに会えたこと、呟いとこう。」



そう言いながら、美戎はスマホを取り出して、何かし始めた。
画像はともかく、こんな所で呟いたって、ネットにつながるわけはないのに。
本当に変わった奴だ。



「こうして呟いとけば、おばあちゃんが安心するからね。」

「そうだね、それが見られたら良いけどね。」

「うん、大丈夫だよ。
おばあちゃんはスマホもパソコンも持ってないけど、ネットカフェに行って見るように言っといたから。」

「ネットカフェって…残念ながらこの世界にはアンテナがないから、ネットにはつながらないじゃないか。」



そんな真面目臭いことを言った後で、もしかしたら美戎は冗談を言ってたのかもしれないって気付いたけど、もう遅い。



「あ、あの…美戎……」

「繋がるよ。」

「え…?繋がるって何が?」

「だから、ネットだよ。」

そう言いながら、美戎はスマホの画面を俺の前に差し出した。
つぶやいたーの画面だ。



「今日、やっと慎太郎さんに会えたなう。」



え……



辿ってみると、ここに着いてからの美戎の呟きが入っていて、日付は確かに現在のもの。
ほかに、美戎がフォローしてる誰だかわからない人の呟きも入っている。



「ど、どうしてなんだよ!?
ここには、携帯会社のアンテナなんて一本も建ってないはず…って、誰も携帯なんて持ってないんだから当然だ。
なのに、なんで、ネットに繋がるんだよ!」

「そんなこと、僕、知らないよ。
でも、こうして繋がってるんだから良いじゃない。」

「良いとか悪いとかいう問題じゃないだろ!」

驚きが大きすぎて、俺は思わず大きな声を上げていた。