「はい、チーズ!」



掛け声と共ににっこり微笑む美戎は、まさに天使のようなスマイルを浮かべた。
こいつ…芸能界に入っても人気が出るんじゃないか!?
うらやましいを通り越して、妬ましいほどのルックスだ。



「ありがとう。
うん、よく撮れてる。」

撮ったばかりの画像を見て、美戎は満足そうに頷いた。




「そ、その四角いのは何なんだ?
今、あたいに何をした?」

「ゆかりさん…ほら、今、二人の写真を撮ったんだよ。」

美戎は優しい声でそう言いながら、2ショットの画像をゆかりさんに見せた。



「こ、これは!
どうやってこんなことを…もしや、あんたは術が使えるのか?」



ほら、いらんことをするから、ゆかりさんが疑問を持っちゃったじゃないか。




「ううん、これはずーーーーーっと遠くの都会で買ったものなんだ。
これさえ持ってれば、誰にだって同じことが出来るんだよ。」



ば、ばか!そんな答えでゆかりさんが納得するわけないだろう!



「へぇ…都会ってすごいんだな。」



……え?



「ねぇ、慎太郎さん…なにか食べに行こうよ。
僕、お腹すいてきちゃった。」

ついさっき、焼き芋を食べたくせにそんなことを……
っていうか、ゆかりさん…本当にそれで良いのか?



「そうだな。じゃあ、そうしようか。」

俺は心の中の混乱をひた隠し、平静を装い、悠然とそう答えた。