「お願いです!
俺にはゆかりさんしか頼れる人はいないんです!」

「あんたも相当しつこいね。
何度も言っただろ?
残念だけど、やさぐれ達はあたいになんとかできる相手じゃないんだよ。」

「お、俺も頑張りますし、それにこいつらも……」



俺はとにかく諦めなかった。
この先に、危険な場所があるとわかった以上、俺達だけではどうにもならない。
なんとしても、かっぱのゆかりさんについてきてもらわないと…
本人は無理だっていうけど、ヨウカイさむいもの所から俺達を救ってくれた機敏さや勇気はたいしたもんだと思う。
それに、俺だって、一応は男なんだから、少しくらいは役に立つだろう。
第一、必ずしもやさぐれに会うって決まったわけでもないんだ。
運が良けりゃあ出会わずにすむかもしれない。
でも、やっぱり、俺達だけじゃ心細いから、かっぱのゆかりさんにはついてきてほしくて、ここ数日、説得を続けてるんだ。



「こいつらって…まだ歩くこともままならないこんな赤ん坊が何の役に……」



ゆかりさんが話してる時に、誰かが扉を叩く音がした。



「はい。」

扉の向こう側に立っていたのは、びっくりするほどのイケメンだった。
あしでか達より少し大きいヨウカイの子供を連れている。



「こんばんは。僕、美戎。」

「は?あぁ、どうも。
俺は……」

「慎太郎さんだよね?」

「そ、そうだけど、どうしてそのことを…?」

「えっと…まずは、はい。
三匹引いたらもらえるおまけなんだって。」

そう言いながら、イケメンは俺の前にやたらと目のでかいヨウカイを押し出した。



「え…ええっ…?」

「それとね、おじいちゃんに慎太郎さんを連れ戻してくるようにって頼まれたんだけど…」

「えっ!?おじいちゃんって……」

混乱する僕の前に、イケメンは一枚の写真を差し出した。
昨年、俺がじいちゃんと一緒に写した写真だ。



「き、君!どうしてこれを…!?」

「だから、おじいちゃんに慎太郎さんを連れ戻すように頼まれて、僕は慎太郎さんの顔を知らないから、おじいちゃんがそれを持たせてくれたんだよ。」

「な、なんだってーー!」