「あぁ、おいしかった!」

「本当ですか?それは良かったです。
それにしても…あなたって、見かけによらずすごい食欲なんですね。」

「うん。僕の家はみんなは大食いなんだ。」



女の子の家は丘の上のけっこう大きなお屋敷だった。
そこで、僕は東京の話をするだけで、家の人達にすごく喜ばれて、たらふくご馳走になったばかりか、泊まる所がないがないというと泊まって行きなさいとまで言ってくれたんだ。
僕は当然そのご厚意に甘えて、泊めてもらうことにした。
とってもふかふかで気持ちの良い布団だ。



(この世界の人達はけっこう親切だな。
この分ならお金がなくてもなんとかなりそうだ。)



でか目も満腹になったらしく、もうすやすやと眠っている。
僕も実はお腹いっぱいで…ちょっと目を閉じたら、すぐに眠りに落ちていた。







「じゃあ、またね!」

「またぜひ遊びに来て下さいね~!」

最後まで本当に親切な一家だった。



(……ん?)



別れ際にお母さんが僕のポケットに何かをねじこんだ。
何だろう?お菓子かな?…なんて考えながら出してみたら、それは、意外にもお金だった。



なんでそこまで親切にしてくれるんだろう?
僕は旅行の話をしただけなのに……
でも、お金があればとにかく助かる。



「次の町に行ったら、おいしいものを食べような。」

「うがっ!」

でか目の成長はとても早い。
最初の日はけっこうよろよろしてたけど、数日で歩き方もずいぶんしっかりしてきた。
僕が天国に行ってる間に、お腹がすいたのかして、でか目は成長剤を全部食べていたから、もしかしたら、そのせいもあるのかなぁ?
言葉はまだ話せないけど、なんとなく僕の言ってることもわかってるみたいだ。
現に今も返事をした。



お腹もいっぱいだし、僕らの足は順調に進んだ。
そのあたりは小さな町ばかりで、残念ながら籠には出会えなかったけど、町と町の間はそれほど遠くはないし、お金もあるから、歩いていくのも問題はなかった。
それに、どの町でも慎太郎さんの情報が聞けて、間違いなく僕は慎太郎さんに近付いていることがわかった。