「これが地図…ここが兄弟子の住む村じゃ。
歩いていけば二月と半程かかる。
それと、これが旅人セットDX…旅に必要なものが入っておる。
しかも、ハイクラスなものじゃよ。
それから、これはヨウカイ専用の栄養補助食品じゃ。
慎太郎に渡すまでの間、食べさせてやってくれ。
基本、ヨウカイはなんでも食うのじゃが、これを食べさせると発育状態が良くなったり、ヨウカイの持つ特殊能力が上がったりするんじゃよ。」

「サプリみたいなもんだね?」

おじいさんは、サプリがわからなかったのか、小さく首を傾げた。



「それと、これは当座の路銀じゃ。」

おじいさんは、僕の前になにかずっしりと重みのある皮袋を差し出した。



「ありがとう。」

「おぬしはやたらと大食いじゃから、食費がかかりそうじゃからな。
ま、それだけあればなんとかなるじゃろう。
では、そろそろ出掛けるかな?
知り合いの籠を呼んでおいたから、それに乗っていきなされ。
街道沿いの町に立ち寄りながら、慎太郎のことを探して行けば良いじゃろう。
では気をつけてな。」



最初はどうかと思ったけど、けっこう良いおじいさんだった。
おじいさんの屋敷の前で待ってると、すぐに籠がやって来た。
時代劇で見たことのある奴と、ほぼ同じようなものだ。
担ぐのは、やたらと鼻の高いヨウカイだ。
体型は人間と似てるけど、背の高い僕よりもさらにずっと背が高い…と、思ったら、高下駄をはいていた。



「では……」

「あ、ちょっと待って。
おじいさん、画面に僕とこの人達をおさめて、それからここを押して。」

「なんじゃ?これは…」

「スマホだよ。
わかった?ここを押すんだよ?」

僕はヨウカイ達と籠の前に並んで、Vサインをした。



カシャ



「これでええのか?」

「……うん、バッチリだよ。
ありがとう。
じゃあ、おじいさん、行ってくるね!」

籠の中は、見た目通りにずいぶんと狭い。
僕はでか目を抱っこする形で籠の中に乗り込んだ。