「でも、いらない。」

「な、な、なんと…!」

だって、そいつは本当に目がでかくて…いや、でかすぎてちっとも可愛くも格好良くもないんだもん。



「良いか。この世界には危険な輩もたくさんおるんじゃ。
だから、旅に出る者は、皆、用心棒としてヨウカイを……」

「ヨウカイたって、こんなのが用心棒になるわけないじゃない。」

僕がそう言うと、おじいさんは妙に落ち付きをなくした。



「じゃ、じゃが…ヨウカイをたまごから出した者はそれを育てる責任があるんじゃ!」

「そんなこと言うのなら、最初からそういうことをちゃんと説明する義務があるんじゃないかな?
説明もせずに、そんなもの押し付けられたって、僕、困るよ。」

老人は、ますます困ったような顔をした。



「そ…それなら、ヨウカイを引き取ってもらうという手もある。
じゃが……その代金はあんたの寿命になるがのぅ……」

老人がそう言いながら、にたっと笑った。



「良いんじゃない?
でも、それだったら、おじいさん死んじゃうかもね。
もうあんまり寿命も残ってなさそうだし……」

「なんで、わしが寿命を支払わねばならんのじゃ!」

「だって、勝手にヨウカイを僕に押しつけたのはおじいさんだもん。当然でしょ?
こんなの、ある意味、詐欺だよ。」

「さ、さ、詐欺じゃとーーー!!」

おじいさんは自分の悪いのを棚に上げて、怒ってるみたいだった。



「このわしを詐欺呼ばわりする奴をここに置いておく道理はない!
さぁ、今すぐここから出て行ってくれ!
兄弟子の家ももう教えん!」

「別に良いよ。
じゃあ、バイバイ。」

そんなことは、おじいさんに聞かなくても、他の人に聞けばきっとわかる。
僕は立ち上がって、その場を去ろうとした。



「ちょ…ちょっと、待たんか…!」

おじいさんが僕の腕を掴んで引き止める。



「何?」

「いや~、すまんかった。
ちょっと思い違いをしていたようじゃ。
実はな、慎太郎はそのヨウカイたまごを三個割ったんじゃ。
三個割ったら、一つおまけがついてくることを忘れておってのう。
おぬし、これから慎太郎に会うんじゃろ?
それなら、すまんがこいつを慎太郎に送り届けておくれ。」

「そう、それなら良いよ。」

「本当にすまんのう。
その代わり、あんたには籠パスをやろう。」

「籠パス…?」

「そうじゃ。今日から、一年間、籠に乗り放題のパスじゃ。
ヨウカイ、人間、両方の籠に有効じゃ。
他にも旅に必要なものをやろう。
今、持って来るから待ってておくれ。」

おじいさんはそう言い残して、部屋を出て行った。