なんてこった。
最初からなんだか胡散臭い奴だとは思っていたけど、まさか騙されていたなんて…
あぁ、悔しい!
あいつのせいで俺はしなくても良い苦労をしてるのか……



(……あ、そうだ!)



一瞬、酷く落ちこんだ俺だったが、悪いことばかりじゃないってことに気がついた。
もし、俺が老人に騙されてたんだとしたら、あのこともきっと……



「あ、あの、それじゃあ…
その……仮に…ですよ。
仮に、俺があしでか達を育てられなくなったとしたら、引き取ってもらえるんでしょうか?」

「あぁ、大丈夫だ。」

「で…引き取ってもらうにあたって必要なものって…まさか…寿命……なんてことはありませんよね?」

「その通りだ。
引き取ってもらうには、それ相当の寿命で支払うか、もしくは、不幸や祟りや災難や病気をもらうんだ。
三体分となると、あんた……おそらく死んでしまうだろうな。」

「……はは……はははははは。」

泣きじゃくる心を隠すように、俺はへらへらと笑った。
笑うしかないじゃないか。
……だいたい、なんでなんだよ!?
騙すならこういうことも騙してるはずだろ?
なんで、この部分だけマジなんだよ!
それに、このかっぱも「おそらく死んでしまう」なんてそら恐ろしいことを、なんでそんなに落ち着いて話すんだ。



「ま、あんたなら、そんなことはしないだろうから大丈夫だろうけどな。」

「え…?」

「だって、あしでか達は、本当にあんたに懐いてる。
それは、あんたがあいつらを本当に可愛がってるってことだ。
昔な……余ってるヨウカイのたまごを孵化させるために、政府が助成金を出したことがあったんだ。
そしたら、その金欲しさに酷い環境でヨウカイを育てる奴らが増えた。
その頃に育ったヨウカイ達がやさぐれて、人間達に悪さをするようになったんだけど、それは仕方ない事だと思う。
あいつらも可哀相な奴なんだ。
それから、そんなことが起きないようにと助成金制度はなくなったんだ。」

「そんなことが……」

なんだかこの世界もいろいろと問題があるようだ。
それと…かっぱがまだ出会ったばかりの俺のことを信頼してくれたことが、ちょっと嬉しかった。