「さぁ、行くぞ!」

俺は、三人の妖怪共を背負い、住み慣れて、愛着さえ感じ始めていたボロ小屋を離れた。



気がつけば、あれから二週間の時が流れていた。
逸る気持ちとは裏腹に、なかなか貯まらない路銀。
こんなことをしていては、何ヶ月もここに逗留することになってしまうのではないかと、気持ちばかりが焦り、体力的にも限界を感じ始めていた。
そんなある日のこと…町の市場に野菜をおさめに行った時、あしでかがふらふらとその場を離れた。
そして、富くじ屋の富くじを一枚、手に取った。
貴重な路銀をそんなものに使えるかと思ったが、富くじ屋のおやじは金を払えと俺に詰め寄る。
仕方なく買ったその富くじが、なんと大当たり。
大当たりとはいえ、家が買えるとか一生遊んで暮らせるって金額ではないけれど、しばらく旅が出来る程の金がもらえて、それでようやく俺達はまた旅が続けられるようになったってわけだ。
背負った三人のかごの重さは、二週間前より明らかに重くなっている。
それと、俺の身体にも変化があった。
贅肉がそげてどことなく筋肉も固くなってきたような気がする。
最近は、ちょっとメタボ傾向だったから、それは良かったが、この二週間は本当にハードだった……
今度はもう少し楽な所を探そう。
あんな仕事だったら、身が持たない。



「それにしても、あしでかはお手柄だったな!
次の町に着いたら、ちょっとうまいものを食えるぞ。」

途端に上がる甲高い歓声。
奴らはまだほとんど話さないが、どうやら言葉は少しずつ覚えているようだ。



(少しずつ…だけど、確実に成長してるよなぁ…)



そんなことを想うと、つい頬が緩む。
……いかん、いかん!
すっかり父親の気分が定着してきてる。
俺は、まだ花の独身だっていうのに…なんで、突然、父親なんだよ。
しかも、妖怪の父親って……