こいつらと知り合ってまだそんなに経たないけど、日々新しい発見があるというか……
人間の子供とは多少違うとはいえ、子育てっていうのはきっとこういうものなんだろうな。



(……何を考えてるんだ、俺は……)



そういえば、最初は気持ち悪いと思ったこいつらも、最近では少しもそんな風に感じなくなった。
むしろ、可愛いと思うこともあったりして……
あぁ……異世界に来て、妖怪の親になるなんて考えてもみなかった。
いや、そもそも、こんな世界に来る事自体、考えてなかったけど。



皆、心配してるだろうなぁ……
まずは、じいちゃんがおやじ達に連絡して……
……ん?まさか、まだ俺がじいちゃんの家に来たことを気付かれてない…なんてことは……
ありうるぞ!
だって、壷があるのはあんな場所だ。
もしかしたら、じいちゃんはあんな所に壷があることを知らないって可能性もないとは言えない。
だったら、じいちゃんは俺が来たことに気付かないじゃないか。
……あ、でも、おやじ達が……



「あーーーーーっっ!」



いきなり俺が大きな声をだしてしまったから、あしでかはびっくりしてはなでかの後ろに隠れ、みみでかは泣き出した。



「すまん、すまん。
なんでもないんだ。
ほら、みみでか、あーん。」

「あーん」をすでに覚えているみみでかは、素直に口を開けた。
俺はその口にいつの間にか食べられる程に冷めた野菜を放りこんでやった。
途端にみみでかは泣き止み、再び食事に集中した。



……俺がさっき大きな声を出してしまったのは、俺がおやじ達には行き先も告げず、ただ旅行に行くとだけ言って出て来たからだ。



ってことは、俺がじいちゃんの家に来てることは気付かれることもなく……
探すあてさえないってことか…!?



(そ、そんなぁ……)



みんなの心配する顔が頭に浮かんだ。
本当にえらいことになってしまった。
なんとかしなくては……!
なんとしても、早く元の世界に戻らないと……!