「それに……」

「どうしたんじゃ?」

言うべきかどうか悩んだけど、どうせいずれはバレることだ。
俺は思い切って、じいちゃんに話すことにした。



「じいちゃん…俺……ゆかりさんのことが好きなんだ。
俺が初めてゆかりさんに会った時、ゆかりさんはまだかっぱだった。
有害種って呼ばれるヨウカイにあやうくやられそうになった時、助けてくれたのがかっぱのゆかりさんだった。
ゆかりさんに助けてもらわなかったら、俺はここには戻ってこられなかったと思う。」

「なんと!それでは、ゆかりさんはおまえの命の恩人ということか!」

じいちゃんは布団ごと飛び上がらんばかりに驚いて、大きな声でそう言った。



「じ、じいちゃん、声がでかいって。」

「え…あぁ、すまんすまん。
ところで、かっぱにされてたという話はさっきも聞いたが、どんな風にかっぱじゃったんじゃ?」

「どうなって…そりゃあ、もろにかっぱだったよ。
頭の上にはお皿もあったし、全身緑色で、甲羅もあったよ。」

「そんなにがっつり河童だったのか!?
あのゆかりさんが…?」

じいちゃんは、人間のゆかりさんを最初に見たせいか、かっぱだったことはまだよく信じられないみたいだった。



「そうだよ。だから、ゆかりさんが元は人間だったなんて、考えもしなかった。
でもね…一緒にいるうちに、だんだんゆかりさんにひかれていったんだ。
かっぱを好きになるなんておかしいんじゃないかって思ったこともあったけど、ゆかりさんは本当に良い人でね…
頼もしいところもあるけど、繊細なところもあって、子供達にも優しいだけじゃなくしつけもちゃんとしてくれて……」

「な、な、なんじゃと!子供達?
もうすでにお前たちの間には子供がおるのか!?」

「そ、そうじゃないってば!」

俺は、またまた慌てて、金兵衛さんからもらったヨウカイの子供達のことを説明した。