そりゃあ、そうだよな。
長い年月が経ってることはわかっていたとはいえ、それが200年だったとわかったら……



(え…?に、200年!?
じゃ、じゃあ、この俺よりずっと年下に見えるゆかりさんは、200歳を超えてるってこと…!?)



俺がゆかりさんを見ていたら、美戎が小さく頷いた。



「慎太郎さんも気付いたんだね?」

「あ、あぁ……」

「良かったね。これで心配はなくなった。」

「心配って…何のことだ?」

「何のって…慎太郎さん、気付いたんでしょう?」

「あぁ、ゆかりさんが200歳を超えてることだろ?」

俺がそう言うと、ゆかりさんが鋭い視線で俺を睨んだ。



「悪かったな、婆さんで……」

「そ、そうじゃないって……」

美戎のせいで、つまらないことを言ってしまった。



「慎太郎さん、違うよ!
忘れたの?
壺の結界のこと……」

「壺の結界……?」

そう言われてようやく俺は美戎の言ってることを理解した。



そうだ…
壺の結界を開くには、安倍川家の血が必要で……
途絶えたと思ってた安倍川家にはゆかりさんという子孫がいて……



「か、帰れるんだ!!」

「そうだよ!」

「やったーー!」

俺は思わず美戎の身体を抱きしめた。
なんだかんだ言っても、やっぱり俺は元の世界に帰りたかったんだって、改めて感じる程、俺の心は弾んだ。



「どうしたんだよ、二人とも……」

「え…あ……」

ここまで来たら、ゆかりさんにも話すしかない。
俺は心を決めた。



「ゆかりさん……
実は、俺達…余所者なんだ。」

「余所…者…?
どういうことだ?」

「実は…ね……」

俺は話した。
俺と美戎が、こことは違う世界からやって来たってことを……