「あっ!!」

その途端、俺ははじかれるような感覚を覚え、後ろにひっくり返った。



「ゆかりさん…ご……あ、あぁーーーーっっ!」

「慎太郎……あ、あたい……」

俺の目の前にいたのは、かっぱじゃなくて、きりっとした感じの超美人な女の子。
ど、どういうことだ?
一体、何がどうなった?
あ、ゆかりさんは……



「ゆ、ゆかりさん……」

俺は部屋の中を見渡したが、ゆかりさんはどこにもいない。



「し、慎太郎…あたい…今、どうなってる?」

「えっ?ど、どうって?
き、君…ゆかりさんなの?」

美人な女の子は、小さく頷く。
そう言えば、その子が着てるのはゆかりさんの着ていた服だ。
美戎がゆかりさんのために選んで仕立てたあの花柄のワンピースだ。
でも、それって一体どういうことなんだ?
混乱しすぎて、俺にはなにがなんだか……



「あ…あたい…もしかして人間に……」

俺は反射的に頷いた。



「し、慎太郎…」

「わ…わぁっ!」

女の子が突然俺に飛びついて来たから、俺はまたひっくり返って……



「本当にありがとう…!」

女の子は俺に覆いかぶさったまま、大きな瞳で俺をじっとみつめて…そして、やわらかな唇を俺の唇に押し当てた。



その心地良い感触に俺がぼーっとしてる時、引き戸ががらっと開いて……



「ただい……ま。」

「おっ!」



女の子は、慌てて俺の上から離れたけれど、俺はまだ混乱してて……



「慎太郎さん…だめだよ、こんなことしちゃ…」

「えっ!」

美戎にそう言われて、俺はようやく起き上った。