「えーーっ!」

「び、美戎…声が大きい!」

「あ、ご、ごめん……」

部屋に戻った俺は、美戎に打ち明け話をした。
ゆかりさんに想いを告白するつもりだってことを。
美戎は、相当びっくりしたらしく、こっちが驚くような大きな声を上げた。



「……そんなに驚くようなことか?」

「いや、そういうわけじゃないよ。
確かに、ゆかりさんは良い人だもんね。」

「……かっぱを好きになるなんて、俺、おかしいのかな?」

「そんなことないって。
慎太郎さんは、ゆかりさんの中身を好きになったわけだし、それって素晴らしいことだと思うよ。」

「そ、そっか……」

真面目にそんなことを言われると、なんだか気恥ずかしくなってしまった。
それに、ゆかりさんは美戎のことが好きなんだし…勝算のない告白なんだから。



「ゆかりさんが俺の想いに応えてくれないことはわかってる。
でも、決めてたんだ。
元の世界に戻れるにしても戻れないにしても、告白はちゃんとしようって。」

「どうして?なんで、告白する前からそんなこと決めつけてるの?」

「だって、ゆかりさんはおまえのことが好きなんだぞ。」

「そんなことないよ。
僕には早百合さんって大切な人がいることは、ゆかりさんも知ってるし、僕に対しての気持ちは恋愛感情じゃないと思うよ。」

ゆかりさんには何の関心もないからって、勝手なことを言ってやがる。
ゆかりさんも可哀想だな。



「僕、意外とうまくいくんじゃないかと思うよ。
頑張って、慎太郎さん!
ファイトだよ!」

美戎の笑顔を見ていたら、逆に気力が萎えて来た。
ちょっといらっとする気持ちもあったけど、でも、俺にはそんなことを言える立場じゃない。
だって、俺のせいで美戎は元の世界に帰れなくなったんだから。



「話は変わるんだけど……美戎……本当にごめんな。
俺のせいで、こんなことになってしまって……」

「こんなことって?」

「だから…元の世界に戻れなくなって……」

「あぁ、そのこと…そのことなら大丈夫だよ。
僕、諦めたわけじゃないから。」

「諦めてないって…!?」

「どんなに絶望的なことでも、諦めなきゃ何とかなるんだ。
僕、ドラマやアニメでそういうこと学んだから。
それに、早百合さんが帰って来たら、きっとなんとかしてくれると思うんだ。」

「は、はぁ…なるほど。」

相変わらずのポジティブシンキング…それに、早百合への信頼感はものすごく強い。