「ゆかりさんも行く場所がないんだ。
それに、子供達はゆかりさんのことをお母さんみたいに慕ってるから、ここに置いてもらって子供達の世話をさせてあげてもらえないかな？」

「で、でも、美戎…そんなことは勝手に決められないよ。
一応、ゆかりさんに聞いてみないと。」

「そうですね。
私は構いませんが、ゆかりさんの気持ちも聞いてみた方が良いかもしれませんね。
ところで……ゆかりという名は、あなた方が付けた名なのですか？」

「え？いえ…最初から…か、どうかはわかりませんが、自分からそう名乗ってました。
……それが何か？」

「いえ、たいしたことではありません。
それはそうと、あなた方の世界のことを教えていただけませんか？」

「あ…はい。」

本当のことを言ったら驚かれるだろうな…とか、そもそも話して良いものなのかどうかもわからないけど、でも、美戎がぺらぺら話し始めたから、俺も時々口を挟んで、だいたい本当のことを話した。
長兵衛さんはその話が信じられないというのか、想像をはるかに超えてるからイメージさえも良く浮かばないようで、話を聞いてる間、ずっと目を丸くしてた。


「それでは、もうそちらの世界にはヨウカイも陰陽師もいないと言われるのですか？」

「陰陽師はいらっしゃると思いますよ。」

「僕の早百合さんも一応は陰陽師だよ。
まぁ、本職は漁師だから、なんちゃってだけどね。」

「……なんちゃって？？
どういうことなんです？」

「だから～…早百合さんは、安倍川家の血を引いていて、陰陽師の素質も受け継いでるし、アニメで得た知識で僕を作って、でも、僕達家族はみんなが大食いだから、まぐろ漁船に乗ってるんだ。
あれは過酷な仕事だしなかなか陸には戻って来られないけど、儲けが大きいからって…」

長兵衛さんは美戎の話がわからなかったらしく、首をひねっている。
俺にだってわからない。
そういえば、おかしなことを言ったぞ。
早百合さんが美戎を作ったとかなんとか…相変わらず意味がわからん！