「そっか…そういうことだったんだ。
でも、ま、良いじゃない。
金兵衛さんの屋敷に戻れば、元の世界に戻れるんだし…」

……美戎よ…なぜ、そんなにもポジティブなんだ?
騙されたことに怒りはないのか??



「帰りはなるべく早く帰れるように手配致しますから……
ところで…もしかしたら、あのあしでか達も金兵衛に……?」

「その通りですよ!
旅は危険だから、ヨウカイを用心棒として連れて行くのが習わしだとか何とか言われて……」

「やはりそうでしたか。
申し訳ありません。
ですが、なぜ、一体ではなく四体も……?」

「え…そ、それは……」

言えない……
苛々して感情的に、俺が木の実を割ったなんて……
そのことについては、俺が悪いんだ…そのくらいのことは、俺だってわかってる。



「金兵衛の奴、どこまで悪辣なことを……」

「そうでもないよ。
でかめはおまけでくれたし、僕には旅人セットデラックスもくれたし、お金もくれたよ。」

「……俺にくれたのは、旅人セットの試供品だったけどな……」

「あやつは人を見て態度を変えるところがございましてな……」

そう言いながら、長兵衛さんは苦笑する。



長兵衛さんよ、なぜ、笑う??
第一、それはどういう意味なんだよ!?
美戎は、旅人セットデラックスをやらなきゃいけない相手で、俺は試供品で良い相手に見えたってことなのか?
そして、その見解には長兵衛さんも同意、と…
くそっ!気分悪いな……!!



「それで、そのお詫びというわけではないのですが……子供達は私が育てようと思いますが、それでよろしいかな?」

「えっ…子供達を……」

そうだった……
帰る手立てがわかったってことは、ここを離れるってことは……



子供達と別れるってこと……
そして、ゆかりさんとも別れるってことなんだ……



そう思うと、なんだか心の中に冷たい風が吹き抜けた。