「うわぁ……」



飲み屋街の途中あたりから確かにだんだんおかしな建物が増えてはいたけど、ここは他の店よりも特に大きいし、派手さが半端ない。
見てるだけで、目がちかちかしてしまう。
そういえば、このあたりはえらく明るいと思ったけど、よく見ると、火の玉みたいなものがたくさん建物の傍に浮かんでる。
あいつらもきっとヨウカイなんだな。



「慎太郎さん…行くよ。」

大きな扉が開かれると、そこには、まるで女優さんかアイドルみたいな着飾った美人がずらりと並んでて……
むせ返るような香水のにおいも、なんだか刺激的だ。



「いらっしゃいませ~」

美人のお姉さん達がそう言って、一斉に俺達に向かって微笑みかける。



本当だ…!
美戎の言う通り、ここはまさにこの世の天国だ!

それにしても、すごすぎだ。
あまりにもここのみんなは美しすぎる!!



「どうかしたの…?」

「わっ!」



いきなり顔を近づけられて、俺はおかしな声を上げてしまった。



な、なんて綺麗な肌なんだ。
年の頃は二十歳を少し過ぎたあたりか…ノーメイクではないだろうけど、透き通るような真っ白な肌はすべすべで、黒目がちの大きな瞳は長い睫で覆われて…
ううぅ…めちゃめちゃタイプ…!



「あれぇ?もしかして、こういう所は初めて…?」

「ま、まさか……
は、初めてじゃないけど、ひ、久しぶりなもんで……」



……俺って本当に見えっぱりだよな。
素直に初めてだっていえば良いのに……



「そうなの。
私はシュリ…よろしくね。」

「あ、よ、よろしく。
俺は慎太郎。」

「素敵な名前ね。
じゃあ、行きましょうか?」



シュリに不意に腕を組まれて戸惑う間もなく、俺はあやしい店の奥に足を踏み入れた。