「慎太郎さん…さっき、なんであんなこと言ったんだよ。」

「あ、あんなことって?」



あんなことがどんなことなのか、俺にはわかっていた。
だけど、俺はそれをあえてわからないふりをした。



「だから~~…
慎太郎さんがそろそろ帰ろうなんて言わなかったら、もっと詳しくゆかりさんのサイズが計れたのに……」

「だ、だけど、あの時はゆかりさんがなんかいやそうな顔してたっていうか、不審がってたから……だ、だからだなぁ、俺はこの計画がバレちゃいけないって考えてだなぁ……」



美戎はなんともいえない顔つきで俺が話し終わるのを待って、そして、小さな溜息を吐いた。



「……まぁ、だいたいはわかったから良いけど……」

美戎は面倒臭そうに…俺から視線をはずしてそう言った。



(良いじゃないか。
わかったなら、それで……)



美戎には同情してるし、助けてやりたいと思ってるけど、時々こんな風にイラッと来ることがあるんだよなぁ……



まさか、それって俺のジェラシー……??



ゆかりさんは子供達を連れて宿に戻り、俺達は買い忘れたものを思い出したといって商店街の方へ向かった。



「あそこだね。」

美戎の指さす先には小さな仕立て屋があった。
ここでは、俺達の世界みたいに既製服は売ってない。
たまに、古着屋を見かけることはあるけど、基本的にはみんな仕立て屋に頼むみたいだ。



「こんにちは。」

「まぁ、素敵なお兄さんだこと。
お兄さんならどんな服を着ても似合いそうだね。」

愛想の良いおばさんが、そんなことを言って微笑んだ。
若くても若くなくても、女の人は美戎を見たら、みんなこんな風に笑顔になる。



「今日は僕の服じゃないんだ。
実はね……」

美戎は、事情を話し、ゆかりさんのサイズを説明し始めた。