「ようし!じゃあ、最初は僕が鬼だよ!
1、2、3……」




美戎と俺が知恵を出し合って、思いついたのが鬼ごっこだった。
捕まえたふりをして、その時にゆかりさんに抱き付き、だいたいのサイズを調べる…という作戦だ。

こっちにも鬼ごっこはあるらしく、それを説明する必要はなかったけれど、当然、ゆかりさんは乗り気ではなかった。
なぜ、そんな子供みたいな遊びをしなくちゃならないんだと、もっともな質問を返された。
美戎は、最近運動をしていないからだと答え、それに対してゆかりさんは、子供達の世話があると言うから、それなら俺が子供達の面倒をみると提案し、半ば無理矢理にゆかりさんは美戎と鬼ごっこをすることになったんだ。



さほど広くない草むらだから、きっとすぐに捕まるだろう。
そのことについてもゆかりさんは文句を言ってたけど、美戎が適当に誤魔化した。



「……7、8、9、10!」



(う、うわっっ!)



10数え終わると同時に駆け出した美戎は、さながら優秀なアスリートのようだった。
ゆかりさんもそんな美戎の様子を見て、ぎょっとしたような顔をして駆け出したけど、二人の距離はみるみるうちに縮んでいく。



あと少しという所で、美戎の身体が軽やかに宙を切って……



「捕まえた!」

後ろから、ゆかりさんの身体を包み込む美戎の腕が、少しずつ位置を変える。
きっと、ああやってゆかりさんのサイズを計ってるんだろうけど……なんだか、エロいぞ……
ゆかりさんもなんだか顔色がおかしい。



「び、美戎…もういいだろ?
あたいの負けだ……」

「うん…でも、もう少し……」



ゆかりさんはゆっくりと首を曲げて、潤んだ瞳で美戎の顔を見上げて……




「び、美戎…!
そろそろ帰ろうか!」



俺は、立ち上がり、そんなことを叫んでいた。

だって、二人の雰囲気はまるでチューをする前みたいなラブラブしたものだったから、とても見てられなかったんだ。