「また必ず戻って来てくれよ~!」

「美戎、元気でね~!」




俺達を…いや、美戎を見送るミマカさん一家は、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらいつまでも手を振り続けていた。



「それにしても、美戎…よくあの家を出て来られたな。
引き止められて出て来られないんじゃないかって思ってたよ。」

ゆかりさんも俺の言葉に小さく頷く。




「そんなわけないじゃない。
最初から一か月って言ってあるんだし……」

「え…じゃあ、引き止められなかったのか?」

「引き止められたよ。
でも、最初から決めてたことだから……」



普通ならついつい情に流されてしまいそうなもんだけど……
美戎って、けっこうクールなんだと俺は気付いた。



「そ、そうか……
それで、美戎…報酬はどのくらいもらったんだ?」

「うん、けっこうたくさんもらったよ。」



きっと、そうだろうな。
俺は、この前の所よりはもらえたものの、あれだけ頑張った割には少ないと思う。
ま、今更そんなことを言ったって仕方ないけど……



「それにしても、ちょっと見ない間に、この子達、ずいぶん大きくなったね。」

「え…あ、うん……そうだろ?
ミマカさんから毎日たくさん食料もらったおかげで、急に成長したんだ。」

しかも、前より歩けるようにもなった。
以前は本当によちよち歩きでほんのちょっとしか歩けなかったから、それでいつも籠に入れて背負ってたけど、今はゆかりさんの両側と俺の両側で手を繋いで一緒に歩いてる。



「今まではちょっと栄養が足りなかったのかもしれないね。
これからはもっと食べさせてあげなきゃね。」



俺達は他愛ない話を交わしながら、小ヨウカイ達のペースに合わせて、ゆっくりと街道を歩いて行った。