「あ、あの……本当にもう大丈夫なんで……」

「ご主人様からのお言いつけですから……」



ミマカさんの家のお手伝いさんが去った後には、いろんな種類の食料が山積みされていて……
慣れたとはいえ、なんとも切なくなる光景だ。




「まぁ、良いじゃないか。
なんとかみんな食べきってるんだから。」

「そりゃあそうだけど……」



美戎の誕生日のあの日以来、毎日、お手伝いさんが食料を持って来てくれるようになった。
最初はびっくりしたけど、もっと驚いたのは次の日だった。
だって、だって、まさかあれが一日分だったなんて夢にも思わなかったから。
確かに、ゆかりさんは大食いだし、子供達も四人いるから、普通の家よりはたくさん食べてるだろうけど、くず野菜ももらって来てるし、いくらなんでも多すぎる。
せっかくの好意を無駄にしちゃ悪いと思うから、俺もゆかりさんも必死で食べて、子供達にもちょっと多目に食べさせて……
毎日、とにかく食材を食べきることがノルマみたいになってるんだ。

でも、ミマカさんの好意なんだから、きっぱり断るっていうのも悪いような気がするし、これがせめて週に何度かだと本当にありがたいんだけど、なかなかそうも言えなくて……



「さ、早く食べようぜ。」

「う、うん。」



このところ、俺の身体には明らかに筋肉がついてきた。
やっぱり、栄養を採ってるからなんだと思う。
粗食で一生懸命働いてた頃は、こんな筋肉はつかなかったもの。
俺だけじゃない。
子供達もこのところ、成長したのがはっきりとわかる。
特にでかめ以外の三人の成長は著しい。
今まで、奴らには栄養が足りてなかったのかもしれない。
それを考えれば、ミマカさんには本当に感謝なんだけど。