「……君達、お金がないって……そんなに困ってるのか?」

なんてストレートな質問なんだろう。
でも、そう訊ねたミマカさんの顔は、こっちが戸惑う程真剣な表情で……



「え…え…まぁ、その……」

俺にはうまく答えられなくて、どうしようかと焦るばかりだった。




「それじゃあ、明日からみんなでうちに来なさい。
しばらくここで暮らしたら良い。」

それはとてもありがたい申し出だった。
ここだったら、毎日おいしいものも食べられるだろうし、今よりずっと快適に暮らせるだろう。



でも……



「ありがとうございます。
でも、俺…一か月あそこで働く約束しましたし……
畑に行くには、あそこが一番都合が良いんで……
あ、もし、良かったら、ゆかりさんだけでも……」

「えっ、あ、あたいはいいよ。
あたいは、今みたいな暮らしの方が落ち着くからさ。」

「しかし……」



ミマカさんは本当に困惑した顔をしていた。
お金持ちのミマカさんからしたら、きっと、さっきのスマホの袋は衝撃的なものだったんだろう。
多分、俺達が資金的に苦しい旅をしてることは美戎から聞いてただろうけど、お金持ちのミマカさんにはいまひとつ伝わってなかったんだろうな、きっと。



「大丈夫だよ、お父さん。
僕達、貧乏には慣れてるから……」

「でも、美戎……」

「お金はなくても、三人で力を合わせればなんとかなるもんだよ。
僕達、けっこう楽しく旅してるんだから……」



……確かにそうだよな。
こんなどこともわからない異世界にいても、どうにかやってられるのは、ゆかりさんや美戎がいてくれるからだ。
美戎なんて、わざわざこんな所まで俺を探しに来てくれたわけだし、ゆかりさんも危険なヨウカイ達から俺達を守るために同行してくれている……



そう思うと、俺はじーんと胸が熱くなってくるのを感じた。