更に5分歩いたらようやく海が見えてきて、ちらほら家も見えるようになってきた。
「ここら辺じゃ、見かけん顔やね~」
そしてようやく人にも会えた。
80代ぐらいのおばあちゃんはベンチに座って私を見つめていた。
そして、おばあちゃんが目尻を下げると
「ハツエちゃんとこの娘さんかい?」
ハツエ?
…って確か曾祖母の名前だった気がする。
「多分、曾祖母のことです。」
「そうかい、こんな田舎によう来たね。
ハツエちゃん家はあの道を進めばすぐにあるよ。」
おばあちゃんが指してる道は少し森に面した場所で本当にこの近くに海があるのかさえ不思議な場所だ。
「お嬢ちゃん、名前は何て言うんだい?」
「宮下星七っていいます。」
「そうかい、星七ちゃんかい。可愛い名前だね、また機会があればこの老耄と話してくれるかい?」