…うっしっ!と、小鼻を摘まんだまま顔を上げて、傍から見たら死ぬほどダサい格好で気合いを入れた俺はヘタレ込んでいた床から腰を上げた。
そして、キッチンに立ち寄ってから戻った部屋で〝瞑想、スペース、方法〟とスマホでわざわざ検索している時間がもったいなかったから、自分なりに思う姿勢とやり方で心を無にしてすぐにはじめる。
「(もう思い出さねぇ。忘れろ忘れろ忘れろ…、)」
暗示をかけるようにひたすらその言葉だけを心の中で繰り返す。
それでもチラつく、というか一向に消えようとしない蜜の素敵すぎる身体。
暗闇がショッキングピンクに染まり、その中ですっぽんぽんの蜜が現実では絶対しないであろうあられもない姿で俺を最大級に誘惑してくる。
いやー、ダメだこりゃ。お手上げでーす。
煩悩を振り払おうとも、その煩悩が強大すぎて、そっこうで白旗を振りながら戦意喪失しかける俺。
まるで打ち勝てる気がしない。
だって好きな女の身体なんだぞ!?しかもヤる前に全部見ちゃって、一種の生殺しじゃん!!この健全な男子高校生がそれを忘れるって無理なんだよっ!!無茶なことさせんじゃねぇ!!
どうしたって俺を襲って虜にさせてくる煩悩にどうしようもなくて、自棄になって泣き言を漏らす。
瞑想に費やした時間、5秒ももたず僅か2.5秒ほど。
結局あれだけ意気込んだのに瞑想どころか煩悩まみれになって、やっぱり俺には蜜のこと(身体)を一時でも忘れるなんて無理なんだと実感する。
けど、このまま諦めてあられもない姿の蜜に欲情して浸り続けててはダメだってこともわかってる。