どうせお前ヘタレだから口ではそう言ってても、いざ蜜を目の前にしたらそんな度胸ないんだろ。へっ、クソヘタレが。とか思った奴、ちょっとツラ貸せ。今までの俺とは違ぇんだよ。
〝いつもの俺〟はもう崩壊してしまった。
頭の中にずっと映し出される蜜の身体だけですでに余裕なんてものはない。ぶっちゃけてしまえば今すぐに風呂場のドアを開けて蜜をめちゃくちゃにしてしまいたいって思ってる。
まさにギリギリの瀬戸際。
蜜にしか向けられない優しさも、蜜のためだけの我慢も、残っているのは一ミリほど。
蜜が瞳に映ったら、もう、おわり。
ずっとずっと知りたかったけど知れなかったものを知ってしまえばこれほどまでに切羽詰まるものなのかと、今でこうなら蜜を抱くときはどうなるのか予想できなくて自分で自分が怖い。
そのときはマジで蜜のことぶっ壊してしまうだろうな、って、絶賛脳内で放映中の映像がサラリと、なんの違和感もなく〝そのとき〟のまさにドピークであり最高潮真っ只中な展開へと変わり、カッ!と一気に身体中が燃え上がる。
「(………最っ、っっっ高の天国だなもうっ!!!)」
最低オブ最低だと蔑んだ目をして誹謗中傷の集中砲火を誰からでも、全世界の人から浴びたって構わない。
だってこの妄想が俺の夢なんだから。
それに男はこういう生き物だ。
うん、でもまあ、鼻血には気をつけような。
一気に熱が上がったことでのぼせたみたいにクラクラする頭。出そう、で止まっていた鼻血はポタポタと、鼻を押さえる手に落ちてきた。
……ダサッ…。