「……はぁあああ〜…」


脱衣所から出た俺はそのドアを背にし、言葉にすれば長くなるいくつもの感情を孕めたため息を大きく吐き出して、力が抜けたようにズルズルとその場にへたり込む。

蜜に雷を落とされて冷静になった今、状況が状況でも何度繰り返せば学習するんだ貴様という一歩間違えれば蜜を傷つけていた失態を謝りながら酷く反省することが最優先だってのは百も承知。

なん、だけ、どっ!!


どうしても、どーーーしてもあの、風呂場での蜜を思い出してしまって、反省どころか煩悩まみれ。もうそれしか考えられない。

抱えた頭の中、脳裏にまでこびりついた初めて目にした蜜の一糸も纏わぬ姿。

上から下までちゃっかりしっかり抜かりなく見た俺の妄想の中の蜜の妄想でしかなかった身体はリアルなものへとすり替わって――無理無理無理っ!!鼻血出る…っ。

たまらずグッと鼻を押さえる。


あー…、やっべぇなぁー…。と、文字にすることができない映像が流れる正常じゃない頭の片隅でふと冷静に思う。

今までいろいろやべぇと思うことは多々あったけど、今日のこれは過去一に冗談抜きでマジで真剣にウルトラやばい。

思わぬ不慮の事故とはいえ、目にしたかった蜜の身体をとうとう見てしまった俺は果たして蜜を目の前にして我慢というものが出来るだろうか。

幾度となくキューティ怪獣のメロメロ攻撃(無自覚)に耐え続け、我慢と忍耐力を日々磨いてきたが――うん、無理。断言するけど絶対無理。間違いなく無理。なにがなんでも無理。無理ったら無理。